2024年4月17日(水)
主張
政治改革特別委
裏金の徹底解明で抜本対策を
自民党派閥の裏金事件を受け、衆院に委員40人、参院に委員35人からなる「政治改革特別委員会」が新たに設置されました。今後、与野党間で論点が協議されますが、裏金事件の実態解明を徹底的に行い、企業・団体献金の全面禁止など金権腐敗の根を断つ政治改革を実現すべきです。
■論点のすりかえ
特別委設置にあたり自民党の浜田靖一国対委員長は「追及するための委員会ではない。(政治資金規正法改定の)法案をつくることが主題だ」(9日)と述べ、実態解明より制度議論に論点を移す姿勢を露骨に示しました。
自民、公明両党は規正法改定の与党案の協議を進めています。その中身は、裏金づくりの原資で本質的に賄賂である企業・団体の政治資金パーティー券購入禁止に踏み込むことを避け、もっぱら「資金の透明性」や国会議員の秘書などへの「監督責任」に重点を置いています。
共同通信の世論調査(13~15日実施)では自民党の裏金事件の実態が「十分解明されていない」との回答が93%に上っています。実態解明をきちんと行わなければ、裏金事件のような組織的犯罪を防ぐ抜本的な対策を講じることはできません。企業・団体による政治資金パーティー券の大量購入という事実上の企業・団体献金を土台に、裏金システムが組織的・系統的にどうつくられ、何に使われて、政治がゆがめられたのか―。制度を議論するなら決して曖昧にできないはずです。
実態解明に背を向ける自民党の姿勢には驚きます。
同党自身の調査で政治資金収支報告書不記載を認めた85人の裏金議員・政党支部長のうち衆参の政治倫理審査会(政倫審)に出席したのはわずか9人だけで、みな裏金づくりに「知らぬ存ぜぬ」を通しました。下村博文元政調会長は、安倍派の裏金づくりで森喜朗元首相の関与を政倫審では否定しながら、その後、地元の会合で森元首相の関与をほのめかす発言をしていたという虚偽答弁の疑いも報じられています。
自民党の処分では最高責任者の岸田文雄首相と裏金額トップの二階俊博元幹事長は除外されました。岸田首相は、森元首相に「直接電話をかける形で事情を聞いた」というものの、聴取内容を一切語りません。
新たに設置された特別委は「政治改革に関する調査」を目的の一つにしています。そうであるなら、虚偽答弁に偽証罪が適用される証人喚問を実現し、実態解明すべきです。
■企業献金禁止を
日本共産党は、企業・団体献金の禁止・パーティー券購入禁止を一貫して掲げ実行してきた政党です。裏金事件が政界を揺るがす今、他の野党も企業・団体献金禁止をそろって求めるようになっています。
12日付「朝日」世論調査によると、企業・団体献金が「利益誘導につながりかねないから、認めない方がよい」は79%に上りました。これこそ国民の求めている政治改革です。自民党は結党以来69年間、大企業から献金を受け財界優先の政治を行ってきました。企業・団体献金を禁止できないなら、自民党を政権から降ろすしかありません。