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2024年4月13日(土)

「共同親権」

命脅かす危険残ったまま

DV虐待継続・加速も

 離婚後に「共同親権」を導入する民法改定案が12日の衆院法務委員会で、自民、立憲民主、日本維新の会、公明の4党の合意に基づく修正が加えられ、可決されました。審議を通じ、離婚後「共同親権」の導入がDV(配偶者などからの暴力)や虐待の継続・加速につながりかねないなど重大な懸念が浮き彫りになりました。ところが4党の修正は、こうした懸念に応えるものにはならず、命や安全を脅かす危険が残されたままです。

 立民は当初、離婚時に「父母の双方の合意がない場合には共同親権を認めない」と明記し、裁判所による「共同親権」の強制を防ぐ規定を盛り込んだ修正項目(案)を提案。離婚後に父母双方が親権者となった場合も、子の教育や居所指定を単独でできる「監護者」に父母の一方を定めることを義務付け、事実上「単独親権」に近づける仕組みも入っていました。DVや虐待などへの歯止めとなりえるもので、当事者らの懸念に一定程度応える内容でした。

 一方、日本共産党は9日、立民の修正項目を積極的に評価し▽「親権」との文言の見直し規定の追加▽あらゆる場面での「子どもの意思または心情の尊重」の明記▽家庭裁判所の体制増強の明記―などを提案しました。

 ところが、4党が11日に合意した修正案には、立民が提起した、歯止めとなりえる規定は盛り込まれず、「監護」に関する定めの重要性の広報などの規定を付則に盛り込むにとどまりました。5年をめどにした見直しや、親権者の定めが父母の真意によるかを確認する措置の検討の規定も付則に入りましたが、懸念に応えるにはあまりに不十分です。日本共産党の提案も反映されませんでした。

 日本共産党の本村伸子議員は12日の質疑で、立民の修正項目が4党の修正案に盛り込まれなかったのはなぜかとただしました。修正案提出者の立民の米山隆一議員は「わが党の要望を全てかなえるものではない」と答弁。立民の道下大樹議員も採決にあたっての討論で「立民が求めた11の修正項目案を反映したものとはいえない」と述べ、修正項目が盛り込まれなかったことを認めています。

 法務委の参考人質疑では、DV被害から子どもとともに逃れて暮らす当事者が「法案には子どもたち、私たちの命がかかっている」と慎重の上にも慎重を重ねた審議を求めました。

 しかし改定案は、2日に委員会質疑が始まってから10日で採決されました。多くの懸念が残されたままであり、審議は全く不十分です。廃止を求めるオンライン署名は約15万人分(12日午後7時時点)を超え急速に広がっています。こうした声や当事者の深刻な懸念に応える徹底した審議こそ必要です。

 (伊藤幸)


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