2024年4月13日(土)
主張
大阪万博まで1年
矛盾と破綻明らか 中止決断を
「大阪・関西万博」の開幕まで1年となりました。昨年11月の「共同」の世論調査で「万博は不要」との回答が69%にのぼったのをはじめ開催に多くの国民が懸念を抱いています。
日本共産党大阪府委員会は昨年8月、「万博の中止を求める声明」をだしました。(1)パビリオン建設が大きく遅れ、その巻き返しに建設労働者の「残業規制適用除外」など、命と安全をないがしろにした進め方になっている(2)建設費が当初の1・5~2倍となり、インフラ整備など関連事業費もどんどん膨らんでいる(3)開催地の夢洲(ゆめしま)は汚染物質を含む軟弱な埋め立て地でそもそも危険なうえ、1日20万~30万人もの来場者が避難できない恐れがある(4)「夢洲万博」の最大の狙いは「カジノ推進」や関西財界・大企業による巨大開発にある―など大きな問題をはらんでいるからです。
■いのちを脅かす
維新の大阪府・市政は府民の懸念や批判に耳を傾けず「万博が大きく批判されるが、どんなに批判されても必要と訴え続ける」(吉村洋文府知事・日本維新の会共同代表、3月24日の同党大会)という態度です。
しかし、大阪・関西万博の矛盾と破綻はいよいよ鮮明です。「いのち輝く」(万博のメインスローガン)どころか、「いのち脅かす」になりかねない事態が次々明らかになっています。
パビリオンは、参加国が自前で造る予定の五十数カ国のうち現在、12カ国しか着工していません。
3月28日には万博会場建設現場で、埋め立てられた廃棄物から発生した可燃性ガスの爆発事故が起きました。かねて指摘された危険が現実になっています。
日本共産党のたつみコータロー府委員会カジノ・万博問題プロジェクトチーム責任者らの聞き取りに、大阪市環境局の担当者は万博用地のどこでも爆発する可能性があると認めました。
災害時の避難計画はいまだに作成されていません。
この万博に大阪府内95万人の小中高校生らを参加させる事業についても、教育関係者の批判が高まっています。
能登半島地震のもと「万博より被災地救援を最優先に」の声は日増しに強まっています。プリツカー賞を受賞した建築家の山本理顕(りけん)さんは、カジノ前提の万博を批判するとともに、夢洲で建設中の「350億円の木造リング」は中止し、その木材を能登に運び避難所や恒久施設の材料にと訴えています(大阪民主新報、3月31日付インタビュー)。
ロシアの参加は「いのち輝く未来社会のデザイン」に相いれないとした日本政府がイスラエルの参加は容認しているのも重大です。
■「維新政治」転換へ
「明るい民主大阪府政をつくる会」は3月3日に「万博中止府民大集合」を開き、19日には5万余の署名を提出し経産省などと交渉しました。各団体・地域で、「万博より、暮らし充実」「万博より、被災地支援」などのボードを掲げてSNSや街頭でも対話・署名を推進しています。
日本共産党は、あらためてきっぱりと「万博中止」を決断することを求めます。府民世論に背き「万博・カジノ」に固執する維新政治の転換へ、世論と運動をさらに高めましょう。