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2024年4月12日(金)

沖縄 うるま訓練場新設断念

防衛相が表明 反対世論が追い込む

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(写真)会見席で「万歳」をする(右2人目から)伊波常洋、山内末子両氏ら共同代表の人たち=11日、沖縄県うるま市石川

 木原稔防衛相は11日、沖縄県うるま市石川のゴルフ場跡地への陸上自衛隊訓練場の新設について、「住民生活と調和しながら、訓練所要を満たすことは不可能と判断した」として、白紙撤回すると表明しました。「うるま市をはじめ、地元の皆さまにおわびする」として陳謝しました。

 木原氏は、今回の候補地であったゴルフ場跡地の土地については「取得しない」と明言しました。一方、沖縄の陸自第15旅団を師団に改編し、増員する方針に変更はないとして、「沖縄本島に訓練場が物理的に不足する。今後は幅広い視点で、あらゆる選択肢を排除せずに再検討する」として、訓練場を増設する意向を示しました。今年度予算に計上されている訓練場建設のための土地取得費については「しっかりと活用する」と述べました。

 また、訓練場建設の断念になった要因として候補地選定の段階で地元との調整ができていなかったのではないかと問われ、木原氏は「地元に対する説明は丁寧に行ってきたと思う。土地取得は沖縄だけでなく全国でやっており、プロセスはちゃんと踏まえていた」と弁明。「結果として地元の状況の把握、分析が不十分だった」と述べるにとどめました。

 陸自訓練場新設を巡っては、住宅地や教育施設に隣接し、地元住民や自治体に全く知らせず、計画を公表。地元自治会をはじめ保守や革新を超え多くの住民が反対の声をあげました。こうした反対世論が新設計画を断念に追い込みました。

「住民の勝利」と喜び

「断念求める会」会見

 沖縄県うるま市石川のゴルフ場跡への自衛隊訓練場の新設を巡り、保革を超えて計画に反対する地元住民団体「自衛隊訓練場設置計画の断念を求める会」は11日、木原稔防衛相が計画の取りやめを同日発表したことを受けて会見し、「住民の勝利だ」として喜びの声を上げました。

 午後6時20分ごろ、会見場となった同市石川の「石川部落事務所」で、記者団から計画取りやめの発表が伝えられると、「会」の共同代表から歓喜あふれる「万歳」が飛び出しました。

 元自民党県議の伊波常洋共同代表は、国が今回の計画を決めるにあたって地元の意向を聞くことなく強権的に進めたことで、住民の怒りに「火を付けた」と強調。「あまりにも横暴な判断、土足で踏み込んできた。今後、別の場所を選定するとしても(住民の声を聞いて)手順を踏んだ上で、ルールにのっとってやるべきだ」と語りました。

 同市選出県議の山内末子共同代表は、ゴルフ場跡を抱える旭区が全会一致で計画反対を決議したことが、市議会、市長、県議会と次々に動かしたと指摘。「沖縄県全体の総意として断念を求める声になり、波状効果のように防衛省にしっかり届いた。住民の勝利だ」と述べました。

 伊波洋正事務局長は「私たちは保革を超えて訓練場建設に反対していこうと、ここは絶対ブレないようにとやってきた。これが大きな力になり国を動かす力になった。みんながまとまっていけば大きな力になるんだと感じた」と語りました。


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