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2024年4月8日(月)

主張

子ども子育て支援

権利保障抜きにはすすまない

 子どもや子育て支援に求められることは何かを考えるとき、国会で審議中の子ども・子育て支援法改定案には問題があると言わざるを得ません。「少子化」を招いたこれまでの政策への反省も、理念も、まともな財源の手当てもないからです。

 法案は「こども未来戦略〈加速化プラン〉」として、2028年度までに▽児童手当の拡充▽妊婦への10万円支給―などをすすめるとします。児童手当の所得制限撤廃は、「子どもは社会が育てる」という理念に照らして評価できるもので、要求運動の成果です。

■限定的かつ負担増

 しかし、「異次元の少子化対策」を掲げながら、本格的な施策は児童手当の拡充だけです。国による学校給食や保育料の無償化も、高等教育無償化や奨学金返済の負担軽減の本格的取り組みもありません。極めて限定的です。一方で、3・6兆円の財源は国民の負担増で賄おうとしています。

 一つは、公的医療保険に上乗せして新たに国民から徴収する「支援金」です。支援を拡充しようとすれば保険料を上げざるを得ない、その範囲内でしか拡充されないとなりかねません。

 また、負担額は加入する保険で異なるため、収入の少ない人が多い人より負担が増えることが起こります。75歳以上の後期高齢者や今でも負担が重い市町村国保は、現在の保険料に対する負担増額の比率が高く、逆進性が強まります。

 もう一つの財源確保策は社会保障削減です。3・6兆円のうち1・1兆円を「歳出改革」で生み出すとします。介護・医療の自己負担3割の拡大、要介護1・2の生活援助見直し、国保料引き上げ圧力の強化―などが含まれます。このほかインボイスによる消費税収も当て込みます。

 政府は“社会保障が高齢者に偏っている”と世代間対立をあおり、医療・介護の削減をすすめています。しかし、高齢者の負担を増やしサービスを削減することは、親を支える子ども世代の負担に直結するうえ、若者を含めて現役世代の将来不安を広げます。

 負担増・社会保障削減が前提の「子育て支援」では国民は期待を持てません。

■将来不安をなくせ

 なぜそうなるかと言えば大軍拡と大企業優遇は温存という姿勢だからです。

 日本共産党の高橋千鶴子議員の衆院特別委員会(3月13日)での追及に政府が認めたように、他の分野でやりくりした財源は子育て支援でなく「防衛力強化」に充てられます。社会保障削減で生み出すという1・1兆円は今年度の軍事費増額分と同じです。軍拡でなく暮らしに使うべきです。

 少子化という国の存続に関わる課題なら、抜本的支援のために税制を変え大企業・富裕層に応分の負担を求めることも不可欠です。

 “少子化で経済が大変だから子どもを増やせ”ではなく、暮らしを支え、将来に希望が持てる生活を権利として保障する政治・経済・社会への転換が必要です。非正規雇用や長時間労働、低賃金をなくす、女性差別のないジェンダー平等社会にする、教育費の負担を減らす―政治がつくり出してきた若者の生活不安・将来不安を解消すること抜きには「少子化対策」をうたっても前にはすすみません。


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