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2024年4月7日(日)

主張

空港・港湾の指定

軍事利用許すなの声を大きく

 「総合的な防衛体制の強化に資する」ためとして岸田文雄政権は、自衛隊などが有事(戦時)に使用することを前提に国が改修や整備をする空港・港湾を指定しました。戦時に加え平時から自衛隊が訓練や人員・物資の輸送などで軍事利用しやすくするのが目的です。岸田政権が進める「戦争国家づくり」の一環です。

■自衛隊優先を狙う

 岸田政権が2022年末に決めた安保3文書は、自衛隊や海上保安庁のニーズ(必要)に基づき、部隊の訓練や有事の際の展開などのため、空港・港湾をはじめ公共施設を整備し機能を強化する仕組みを設けるとしました。併せて、その利用に関するルールづくりを行うとしました。自衛隊などの優先利用が狙いです。

 有事に自衛隊などが空港・港湾を優先的に使用する仕組みは、有事法制の一つ、「特定公共施設利用法」(04年成立)で定められています。しかし、平時の使用に関する枠組みはこれまでありませんでした。

 これらを踏まえ、1日に開いた関係閣僚会議で▽防衛省、国土交通省が、空港・港湾の管理者との間で、自衛隊や海保が「柔軟かつ迅速に施設を利用できるよう努める」との確認を交わし、「特定利用空港・港湾」に指定する▽国交省は特定利用空港・港湾の必要な整備や既存事業の促進を図る―ことを決めました。

 その上で、第1弾の特定利用空港・港湾として、北海道、香川、高知、福岡、長崎、宮崎、沖縄の7道県の16カ所を指定しました。

 釧路港など5港湾が選ばれた北海道は自衛隊部隊や弾薬を多数置いているためで、高松港など4港湾が指定された四国は物資補給を見込んでいるとされます。「南西諸島の防衛」を口実に自衛隊強化が進む沖縄と九州は、石垣港など2港湾、那覇空港や北九州空港など5空港が選定されました。

 また、16空港・港湾の24年度の整備費として370億円を計上しました。空港では、戦闘機や輸送機などが使用できるように滑走路の延伸や駐機場の整備、港湾では、輸送艦や護衛艦が接岸できるように岸壁整備や海底の掘り下げなどを計画します。

■攻撃の標的になる

 今回指定された空港・港湾について、有事に攻撃目標になることへの不安、懸念が上がっています。

 政府は、内閣官房がホームページ上で公開しているQ&Aで「攻撃目標とみなされる可能性が高まるとはいえない」としています。しかし、沖縄の地元紙は1944年10月の南西諸島への米軍の空襲で飛行場や港が激しい攻撃にさらされたことに触れ、「自衛隊や海保の訓練などに使用される施設は当然、有事の際は攻撃の標的となり得る」と指摘しています(琉球新報3日付社説)。

 特定利用空港・港湾の指定は、自治体など管理者の同意が必要です。政府は今回の指定に当たり三十数カ所を候補にしましたが、複数の県が説明不足を理由に了承しなかったとされます。沖縄県も、国と石垣市が管理する2カ所は指定されたものの、県管理のものは同意していません。

 「戦争国家づくり」のための空港・港湾の整備・利用を許さない運動と世論を広げることが重要です。


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