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2024年4月3日(水)

主張

土地規制区域指定

住民の権利侵す法律は廃止を

 「在日米軍施設が集中し、環境問題や米軍関係の事件・事故が後を絶たず、土地の有効利用の阻害要因になっている。防衛関係施設の周辺を指定することは、さらなる負担を強いるものであるとして極めて強い反対意見がある」。沖縄県が政府に提出した意見書です。

 岸田文雄政権は3月29日、土地利用規制法に基づき、安全保障上重要とする米軍・自衛隊基地の周辺と国境にある離島などの土地利用を規制する区域として28都道府県184カ所を指定しました。

 同法に基づく土地規制は経済活動やまちづくりに影響を与え、基地の負担に苦しむ住民にさらなる負担を強います。基地や原発などの周辺住民を政府が監視し、憲法が保障するプライバシー権や財産権、思想・良心の自由を侵害します。指定は白紙に戻すべきです。

■域内全住民を監視

 土地利用規制法は2021年6月に成立が強行されました。政府が、米軍や自衛隊の基地、海上保安庁の施設、原子力関係施設など「重要施設」の周囲約1キロ以内と国境にある離島を「注視区域」に指定し、区域内の土地・建物の所有者や賃借人などの個人情報や利用実態を調査するというものです。調査の結果、「重要施設」や国境離島の「機能を阻害する行為」やその「明らかなおそれ」があると判断すれば、利用中止の勧告・命令を行います。従わない場合は刑事罰が科されます。

 「注視区域」のうち、司令部機能を持つなど特に重要とみなすものは「特別注視区域」に指定し、200平方メートル以上の土地・建物の売買に事前の届け出を罰則付きで義務付けています。

 今回の指定は4回目で、これで一通りの作業が終わり、これまでと合わせ全都道府県583カ所の指定が決まりました。

 今回、沖縄県の嘉手納基地や普天間基地をはじめ、三沢基地(青森県)、横田基地(東京都)、横須賀基地(神奈川県)、岩国基地(山口県)、佐世保基地(長崎県)など、全国の主要米軍基地の周辺が「特別注視区域」に指定されました。

■新たな基地負担に

 今回の指定について、とりわけ沖縄県では「新たな基地負担」だと批判が上がっています。

 嘉手納基地など米軍基地が町面積の82%を占める嘉手納町では、町の全域が「特別注視区域」に指定されました。同じく嘉手納基地などを抱え、町面積の51%が米軍基地の北谷町も、ほぼ全域が「特別注視区域」となりました。

 両町とも、広大な米軍基地に圧迫され、狭隘(きょうあい)な土地でまちづくりを強いられてきました。その上、一定面積以上の土地・建物の取引に事前の届け出が必要になれば、経済活動やまちづくりのさらなる支障になる恐れがあります。「極めて強い反対意見」が出るのは当然です。

 基地に起因する事件・事故や航空機騒音、有害なPFAS(有機フッ素化合物)の流出による環境汚染などにより、住民の生活は脅かされており、調査活動や反対運動が取り組まれています。そうした住民の行動を監視や規制の対象とすることは許されません。

 憲法違反の土地利用規制法は廃止すべきです。


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