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2024年3月31日(日)

世界水泳チケット販売不振なのに 経済効果“盛り算”

福岡市が「433億円」

党市議団の再計算では315億円

 福岡市は昨年夏にあった水泳の世界選手権福岡大会(世界水泳)と世界マスターズ選手権九州大会によって「433億円」もの経済効果が同市にあったと公表しました。チケット販売も協賛金も目標に届かず、空席が目立つ日があった同大会。日本共産党市議団が検証したところ、過大な“盛られた”経済効果が出るような計算、“盛り算”が行われていたことが分かりました。(矢野昌弘)


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(写真)世界水泳の会場のひとつ、マリンメッセ福岡=福岡市博多区

 22日の市議会で中山郁美団長が指摘しました。市が公表した経済効果は、実際に観光客が福岡市で使ったお金ではなく、モデルケースを当てはめた推計で導いた金額です。観光庁などが作成したモデルを参考に計算しますが、どのモデルを用いたかで額は大きく変わります。

 例えば福岡市は、「1人当たりの消費単価」で、いくつかあるモデルのうち最も適切と思われる「スポーツイベント」でなく、消費単価が高い「ビジネス出張」で計算していました。宿泊数や外国人観光客の比率でも、実態に近いものでなく、上振れするモデルを用いていました。(表参照)

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(写真)世界水泳での巨額の市民負担をただす中山郁美市議=22日、福岡市議会

 極めつきは、「延べ人数」に「宿泊日数」をかける盛り方です。例えばAさんが2日間、世界水泳を観戦したとします。福岡市は、1日目に観戦したAさんが「2・2泊」したと計算。Aさんが2日目に観戦した時も「2・2泊」したと計算していました。

 共産党市議団が、観客数など市の数字を使って適切なモデルで再計算すると、経済効果は315億円でした。市の発表より100億円超も下回ります。

 中山議員は市議会で「世界水泳を強行するために振りかざした経済波及効果は全く根拠がなく、あえなく崩れ去った」と批判しました。

 両大会で福岡市の負担は107億円。市の部局が協賛金として支出した隠れ負担金の4・9億円を足すと112億円にのぼります。市民1人当たりの負担は7000円になります。

 市民には実感がわかない経済効果ですが、大企業にはリアルな経済効果がありました。大会を通じて、市は電通グループに総額24億7904万円(契約39件)、テレビ朝日には14億円(2件)、会場設営費で大手ゼネコンの大林組に79億円を支出しています。

世界水泳福岡大会で駆使した“盛り算”の数々
盛られた数値 使用された不適当なモデル 上振れ効果
観客1人当たりの消費単価 「スポーツイベントモデル」でなく「ビジネス出張モデル」を使用 1.6倍↑
宿泊数 「観光・レジャー」でなく、「出張」と「帰省」モデルを併用 1.3倍↑
外国人観客と日本人の比率 隣国と陸続きのハンガリーであった前回大会のモデルで推計 海外客が実際より多く
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