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2024年3月30日(土)

春闘点描

NTT発表 ベア1万1000円→実は…700円

通信守る人員確保を

JMITU通信産業本部が運動

写真

(写真)大幅賃上げと人員確保を求めストライキを実施するJMITU組合員たち=7日、東京・NTT持ち株会社前

 NTTは春闘回答をベースアップ(ベア)月額1万1000円(子育て・介護手当を含む)、定期昇給相当分と合わせて最大7・3%の賃上げだと発表しましたが、X(旧ツイッター)で「全員共通で上がるベースアップは0・2%だけ」と告発されて大炎上しています。

 JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)通信産業本部は、NTTの回答のからくりを指摘しています。基本賃金を引き上げる本来のベアは、700円のみ。子育て・介護手当が1000円で、あとは成果手当への増額だといいます。

 Xの告発投稿も、最大額となるのは、子育てと親の介護をしながら人事査定で最高評価を得て昇格した場合であり、実現困難なことを批判しています。

 もう一つ大きな問題になっているのが自然災害から通信機能を守るNTTの役割と、そのための人員確保です。

 1月1日に起こった能登半島地震では、2週間以上も被災地の携帯電話がつながらない通信障害が続きました。

 NTTドコモの災害時に広域をカバーできる基地局の設置は、東京、大阪以外は各県2局にとどまり、能登半島地震の被災地域の多くは守備範囲になっていません。移動基地局車の配置は交通網の寸断で難航しました。

 NTT法は「国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保」とユニバーサルサービスの責務を定め、災害対策も重要な役割となっています。

 ところが、携帯電話は、自民党政権が「移動体通信業務の分離」を打ち出し、1991年のドコモ設立で、ユニバーサルサービスから除外。2020年にドコモはNTTグループ完全子会社化が発表されましたが、NTT法の適用外となったままです。

 岸田政権は、NTT株を完全売却し、大軍拡財源にあてようとしています。NTT法の廃止で、被災地の通信確保などNTTの社会的責任を投げ捨てようと狙っています。

 JMITU通信本部は3月7日、14日に2波のストライキを実施。7日の東京・NTT持ち株会社前集会で、数々の災害出動を経験した冨田啓二東京支部書記長が「NTTは災害時の通信確保の対策こそ充実させるべきだ。そのために賃上げ、人員確保が必要だ」と強調しました。

 宇佐美俊一委員長は「NTTの通信設備は、国民利用者負担で構築された『国民の共有財産』です」と強調。国民のための通信を守るため、岸田政権のNTT株売却・NTT法廃止の阻止を掲げ、大幅賃上げによる人員確保、体制強化を求めています。(田代正則)


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