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2024年3月30日(土)

土地利用規制法

区域指定決定 計583カ所に

国民監視・権利侵害 懸念の声

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(写真)首都・東京に居座る米軍横田基地

 政府は29日、土地利用規制法に基づく第9回「土地等利用状況審議会」を開き、横田基地(東京都福生市など)や普天間基地(沖縄県宜野湾市)など主要な米軍基地を含む全国28都道府県の184カ所の指定を了承しました。これで一通りの選定作業が終わり、これまでの指定とあわせ、47全都道府県・583カ所もの指定が決まりました。今回了承された指定区域は4月中に告示。区域図をホームページで公開し、5月に施行します。

 今回了承されたのは▽自衛隊施設が23都府県186施設▽米軍施設が9都府県45施設▽原発関係が11道県19施設▽空港が2県2施設▽海上保安庁関係が沖縄県の4施設▽国境離島が沖縄県の2島―に上ります(施設数と区域の数は一致せず)。

 区域指定されれば、周囲1キロが監視対象になり、「機能阻害行為」が確認されれば国が中止を勧告・命令。従わなければ刑事罰が科されます。特に重要とされる「特別注視区域」では土地の売買に事前の届け出が必要になります。

 指定にあたって行われた地元自治体に対する意見聴取の結果も公表され、「在日米軍施設が集中し、環境問題や米軍関係の事件・事故があとを絶たず、土地の有効利用の阻害要因となっている。(区域を)指定することは、さらなる負担を強いるものとして極めて強い反対意見がある」など指定への否定的意見が示されました。

 土地の売買といった住民や事業者の経済活動、まちづくりへの影響の懸念やプライバシー権、財産権、思想・良心の自由の侵害への懸念もあがりました。

住民運動への萎縮効果も

 土地利用規制法廃止を求める仲松正人弁護士の話 本当に約600もの区域を指定する必要があったのか疑問です。例えば、久高島(沖縄県南城市)は土地利用に区(沖縄の行政単位)の許可が必要な独自の制度があり、「阻害行為」の発見が容易で、本来指定する必要がないのに指定されています。審議会では土地利用規制法が定める「必要最小限」の指定かどうかの議論が一切行われていません。

 一方、防衛省本省が置かれ、本来なら「特別注視区域」になるはずの防衛省市ケ谷庁舎は「注視区域」にとどまっています。近くにある創価学会の敷地にかからないようにするという公明党との約束を反映したものだと考えられ、区域指定のやり方が非常に政治的なものになっています。

 一番の問題は住民の監視が行われるという点です。基地監視活動や基地反対、反原発、有害なPFAS(ピーファス)をめぐる運動などに非常に萎縮(いしゅく)効果をもたらすことが懸念されます。土地利用規制法は廃止しかありません。


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