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2024年3月30日(土)

主張

安保法制施行8年

「戦争の準備」を必ず止めよう

 歴代政府が憲法違反としてきた集団的自衛権の行使など、米軍の海外での戦争に自衛隊が参戦することを可能にした安保法制=戦争法が2016年3月29日に施行されて8年が過ぎました。安保法制は、「戦争国家づくり」を法制面で進めるものでした。その下で、岸田文雄政権は22年末、敵基地攻撃能力の保有と、5年間で43兆円の軍事費をつぎ込む大軍拡計画を盛り込んだ「安保3文書」を閣議決定し、実践面での「戦争国家づくり」に乗り出しています。日本の平和と国民の暮らしを守るため、「戦争準備」の企てを止めることが切実な課題になっています。

在日米軍の機能を強化

 安保法制は、日本は攻撃を受けていないのに、海外で米軍が先制攻撃の戦争を起こしたり、海外の紛争に介入・干渉する戦争を始めたりした際、自衛隊が米軍に対し輸送や補給、修理・整備、通信、医療などあらゆる後方支援を担い、さらには米軍とともに戦闘に参加(集団的自衛権の行使)する法的仕組みをつくりました。

 安保3文書は、相手国領土にあるミサイル発射拠点などを直接たたく敵基地攻撃能力の保有を初めて打ち出しました。これは、集団的自衛権の行使容認と同じく、憲法違反としてきた歴代政府の見解を百八十度覆す立憲主義破壊の暴挙でした。

 3文書はまた、現代の戦争の特徴として、陸・海・空という従来の領域に加え、宇宙・サイバー・電磁波といった新しい領域にわたる作戦(領域横断作戦)の能力強化などを重視しています。

 その上で、敵基地攻撃と敵ミサイルの迎撃を合わせた「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)や、領域横断作戦などさまざまな任務を統合し、米軍と共同して実施していく必要を強調しています。

 3文書は、そうした態勢構築のため、陸・海・空自衛隊を一元的に指揮する「常設の統合司令部」の創設を決めました。政府はその具体化として、「統合作戦司令部」を24年度中に新設しようとしています。

 さらに日米両政府は4月10日の首脳会談で、米軍と自衛隊による「指揮統制」を連携させる方針で合意しようとしています。「指揮統制」とは、部隊の活動を計画・指示・監督することです。その連携は、米軍と自衛隊の部隊を一体的に動かし、戦争をともにたたかう態勢をつくることになります。

 首脳会談を受け、5月末に日米の外交・軍事担当閣僚による会合(2プラス2)を開き、具体的な仕組みづくりの検討を始めます。

 現在、在日米軍部隊に対する指揮権は、日本と時差や距離のある米ハワイのインド太平洋軍司令部が持っています。基地の管理を主な任務にしている在日米軍司令部(東京)に指揮権の一部を付与する案などが挙がっています。

自衛隊が米軍指揮下に

 「指揮統制」の連携によって、敵のミサイル発射拠点など攻撃目標を特定する情報収集能力をはじめ圧倒的な力を持つ米軍の指揮下に、自衛隊は本格的に置かれることになります。米軍の海外での戦争に自衛隊が組み込まれ、敵基地攻撃などを行えば、日本への報復攻撃は避けられず、国土は焦土と化します。「戦争国家づくり」を許さない国民的運動を大きくする必要があります。


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