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2024年3月28日(木)

主張

ガザ停戦要求決議

集団殺害やめよの圧力さらに

 パレスチナ・ガザ地区での停戦を国連安保理として初めて求めた決議が25日、採択されました。イスラム組織ハマスの襲撃と人質拘束への報復としてイスラエルのネタニヤフ政権がガザへの無差別攻撃を始めて半年近く、4回にわたり拒否権を行使してきた米国も今回は棄権にとどめました。決議は人質の無条件解放、人道支援の確保も要求しています。

国際世論と運動で前進

 ラマダン中との期限はあるものの、ジェノサイド(集団殺害)を一刻も早く止めよとの世界の世論と運動による重要な前進です。「不履行は許されない」(グテレス国連事務総長)決議であり全面実行へ国際的圧力がさらに必要です。

 空爆などによるガザでの死者は3万2千人、うち1万3千人余りが子どもで、がれきの下には数千人が埋まったままです。イスラエルは食料や医薬品などの陸路搬入を厳しく制限し、病院も攻撃を受けまともな治療は不可能で、飢饉(ききん)が迫っています。

 この状況に米国でも市民の抗議が広がり、イスラエルを支持してきた与党・民主党のシューマー院内総務も、イスラエルは「世界でのけ者となる」と公然と批判、バイデン大統領は「彼は多くの米市民の深い懸念を表現した」と述べざるをえませんでした。欧州連合のボレル外交安保上級代表は「これは人災だ。飢餓が戦争の武器になっている。われわれはウクライナで起きていることを非難するなら、ガザについても同じ言葉を使うべきだ」と暗に米国の二重基準的対応を批判しました。

 国際司法裁判所が1月、南アフリカ政府の訴えを受け、ガザでの集団殺害を防ぐあらゆる措置をとるようイスラエルに命じたことも国際世論に影響を与えています。

 今回の安保理決議は、国際法・国際人道法の順守を求める世界の市民と政府の圧倒的な声を受けたものであり、実行、具体化は待ったなしです。イスラエルは決議に従わず、ネタニヤフ首相は、米国の支持なしでもガザ南部ラファへの作戦を進める構えです。米政府は、採択は容認したものの決議に「拘束力はない」と、およそ国際的に通用しない言い分で、イスラエルへの軍事支援を続けています。これ以上の蛮行とそれへの加担は許されません。

 日本政府は決議の共同提案国になりましたが、一方で国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金拠出を停止したままです。同機関の職員が昨年10月のイスラエルの民間人への襲撃に関与したとの指摘が発端ですが、第三者組織による検証が進みカナダ、スウェーデンなど次々と拠出を再開しています。米国に追従せず日本も直ちに再開すべきです。

憲法にふさわしい外交を

 岸田政権は、イスラエルの軍需企業の攻撃用ドローンを輸入しようとしていますが、やめるべきです。パレスチナ占領地の人権担当の国連特別報告者は26日、イスラエルと支援国は集団殺害への責任が問われると指摘し、同国への武器禁輸などを勧告しました。こうした声はさらに広がるでしょう。日本には、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」と宣言した憲法にふさわしい、即時停戦実現を迫る外交の強化こそ求められています。


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