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2024年3月27日(水)

主張

次期戦闘機の輸出

他国民殺害につながる暴挙だ

 ガザやウクライナで空爆にさらされ、おびえ泣く子どもたち。その映像に日本でも多くの人が胸のつぶれる思いをしているでしょう。そうした中で岸田文雄政権は、日本が開発・輸出する戦闘機が他国の罪のない人々にミサイルを撃ち込む事態につながりかねない危険な道に踏み込む決定をしました。日本が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機を英・伊以外の第三国にも輸出可能とすることを閣議で決めたのです。国民にも国会にもまともに説明せず、一片の閣議決定で、憲法の平和主義に背き、日本を「死の商人」国家におとしめる許し難い暴挙です。

違憲の安保政策大転換

 岸田政権が26日に強行した閣議決定は、次期戦闘機の第三国輸出を認めた理由について、日本がそのような仕組みを持って英・伊と「同等」にならないと、「日本の安全保障環境にとって必要な性能を満たした戦闘機」を実現できないとしています。

 しかし、政府は国会で「日本の安全保障環境にとって必要な性能」を具体的に聞かれても、どの次世代戦闘機にも求められるステルス性(相手に探知されにくい性能)などを挙げるだけで、それ以上の詳細は「他国に対抗手段を取られかねない」などとして説明を拒んでいます。英・伊が日本に第三国への輸出を求めているとも述べていますが、どの国の誰がどういう場で誰に求めたのかただされても、「相手国との関係から答えを差し控える」として明らかにしようとしません。

 「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」し、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」をうたった憲法の下、こんな乱暴なやり方で、日本の安全保障政策を大転換する決定がされていいはずがありません。

 岸田政権は閣議決定に続き、国家安全保障会議で、武器輸出のルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針を改定しました。同指針は、次期戦闘機の第三国輸出について▽国連憲章の目的と原則に適合する方法で使用することを義務付ける国際約束を日本と輸出先の国が締結している場合に限る▽武力紛争の一環として現に戦闘が行われていると判断される国への輸出は除く―としています。

 しかし、そうした約束にもかかわらず国連憲章に違反する侵略に次期戦闘機が使われた場合、食い止める実効的な手段はありません。政府は、維持整備のための部品の輸出を差し止めるなどとしていますが、部品が不足するまで使い続けられるし、部品が不足しても英・伊から入手可能です。現に戦闘が行われている国には輸出しないとしますが、輸出後に紛争当事国になる可能性もあります。いずれも歯止めにはなり得ません。

自民党政治を終わりに

 日本は1976年から2014年まで、平和国家として国際紛争の助長を回避するため武器輸出を原則、全面禁止していました。それを決めた76年、当時の宮沢喜一外相は「わが国は兵器の輸出をして金をかせぐほど落ちぶれてはいない」と答弁(同年5月14日、衆院外務委員会)しました。平和国家の理念を投げ捨て、日本をどこまでも落ちぶれさせる自民党政治を終わらせなければなりません。


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