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2024年3月26日(火)

論戦ハイライト

日本の農業・食料危機そこに

予算、抜本的増加が政府の責任

参院予算委 紙議員

写真

(写真)パネルを示して質問する紙智子議員=25日、参院予算委

 日本共産党の紙智子議員は25日の参院予算委員会で、食料・農業・農村基本法の改定をめぐり、危機的な日本の農業の実態をつきつけ、国民のいのちを支える食料・農業政策の抜本的な転換を迫りました。

稲作所得 1時間10円

首相「平均値だ…」 紙氏「低すぎる」

 紙氏は、日本の食料自給率が38%で、この20年間で専業農家が約100万人、耕地面積が約50万ヘクタール減少したと指摘。農林水産省が2040年の専業農家は30万人になると推定し、三菱総研は50年の米の生産量は最悪291万トンに半減すると推定しているとし、「日本でも食料危機が現実味を帯びている」と迫りました。岸田文雄首相は「弱体化は危惧されているので、農地の集積などにより生産性の向上を図る」などと答えました。

 「危機感が感じられない」と指摘した紙氏は、農家や農地の減少に歯止めがかからないのは「農産物の取引を自由な市場取引にまかせ、価格の下支えと農業の再生産を保障する仕組みをなくしたからだ」と強調。輸入自由化で国産農産物が買いたたかれているのは政治の責任がきわめて大きいと批判しました。

表

 紙氏は、日本農業法人協会会長の「若い人が何で定着しないかといえば、農業で食えなくなっているから」との声を紹介。「稲作経営の時間当たりの農業所得」が15年592円、20年181円、21年と22年は10円に下がっている状況を示し(表)、なぜ下がったのかと追及しました。

 首相 自家消費を主とする小規模経営体も含めた平均値だ。

  平均値だとしても10円は低すぎるのではないか。

 紙氏は専業農家の時間当たりの農業所得も20年の918円が、22年に699円に下がっている事実を示しました。

  首相は労働者の賃上げが必要だと言うが、農家の手取りはどう上げるのか。

 首相 生産コストの低減を進め、所得の向上を後押しする。

  生産者へまともな支援がないから10円になったのではないか。

 紙氏は、21年の各国の農業関係予算に占める直接支払いの割合が日本は28%と最も低い(グラフ)ことを示し、抜本的に増やすべきだと求めました。

グラフ

赤字輸入米 年77万トン

農相「合意だ」 紙氏「全量義務ない」

 紙氏は、米国産などの米を輸入するミニマムアクセス(MA)米の入札結果(2022年)と国産米の取引価格を比較し、国産米の価格が低く抑えられている一方、政府がMA米を高く買い、安く売るので国の赤字が膨らんでいると指摘。赤字額が1995~2021年の累積で5677億円、22年はさらに674億円増えている実態を示し、「国内生産者は米価が下がって、もう続けられないと悲鳴をあげているときに、輸入米は相変わらず77万トン入れ続けている。赤字をどう減らすのか」と追及しました。

 坂本哲志農林水産相は「さまざまな努力はしている」としながらも、赤字をなくすとは言いませんでした。

 紙氏は、MA米は「輸入機会」の提供にすぎず、全量を買い入れる義務はないとし、「中国や台湾、韓国なども全量輸入しているわけではない」と強調。農水省が示している国内需要量に対するMA米の割合は、00年に8・4%、20年には10・9%で、40年に15・6%にまで膨れ上がります。

  それでも77万トン入れ続けるのか。

 農水相 輸入量はWTO(世界貿易機関)加盟国の合意で設定された。見直しには加盟国に確認する必要がある。

  (全量輸入しなければならないとする)政府統一見解をやめればいい。こんな硬直的な制度を95年から続けるのはおかしい。

グラフ

 紙氏は、日本共産党の「食と農の再生プラン」で、「農林水産予算の削減をやめ、増やす」としたことを紹介。軍事費と農林水産予算の推移(グラフ)を示しました。1980年には、農林水産予算が軍事費を上回っていましたが、その後逆転、2023年には軍事費が当時の3倍に膨れ上がりました。

  食料の安全保障が焦点になっているとき、日本の農林水産予算を抜本的に増やすことこそ、政府が果たすべき責任ではないか。

 首相 24年度の農林水産関係予算は23年度を上回っている。

 23年度当初予算比でわずか3億円増だった24年度予算案を持ち出した岸田首相。「実践的な農林水産政策を展開していく」としましたが、軍事費には触れず、予算の抜本的増額に言及しませんでした。


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