2024年3月26日(火)
きょうの潮流
東京・港区の青山霊園の一画に、平和と民主主義、くらしを守るために奮闘した人たちを追悼する墓があります。「解放運動無名戦士墓」です▼建立されたのは1935年。戦争反対を主張すれば投獄され、多くの尊い命が奪われた時代でした。遺骨を埋葬する場所さえなかった人も少なくありません。そうした人々の「共同の安息の場」として、この墓が建てられました▼当時は特高警察の監視により墓参りもままなりませんでした。それでも自由と平和を愛する人びとによって墓は守られ、今につながっています。今年は新たに1105人が合葬され、20日に追悼会が開かれました。コロナ禍の影響で、参列者が一堂に会するのは4年ぶり。筆者も遺族として参列しました▼合葬されるみなさんの略歴を見ると、労働運動や女性運動などでの活躍や、「しんぶん赤旗を23年間毎日配達」という方も。故人が刻んだ活動の積み重ねが今の社会を築いてきたのだと、その重みをかみしめました▼亡くなった父もその一人です。寡黙だった父は多くを語りませんでしたが、病気で体が不自由になってからは、若かりし日のこと、日本共産党に入党した思いなどを話してくれました。遺品の中から筆者が書いた赤旗記事の切り抜きの束を見つけた時は「あの父が…」と胸が熱くなりました▼それぞれに故人との思い出があり、その遺志を引き継ぎたいとの決意が。受け取ったバトンをしっかり握って歩みを進め、次の世代につなぐのは、私たちの責任です。