しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2024年3月20日(水)

受診控え死3年連続増

「困窮がまん 手遅れ…」

全日本民医連 23年調査

 経済的な理由で受診を控えた末に、手遅れ状態となり死亡した人が3年連続で増えていることが、19日、東京都内で全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)が発表した調査報告で明らかになりました。無保険や医療機関の窓口負担が背景にあるとみています。


写真

(写真)2023年の「手遅れ死亡事例調査」の結果を報告する全日本民医連の人たち=19日、東京都千代田区

 調査は、全日本民医連加盟の病院や診療所、歯科の700事業所を対象に行いました。期間は23年1月1日~12月31日。今回で18回目の実施です。22都道府県から48の死亡事例が報告されました。22年の調査から2件増えました。

 20年は40件、21年は5件増の45件、22年は1件増の46件でした。

 調査報告によると、受診前に無保険だった事例は22件(46%)でした。保険料が払えず、無保険だった70代男性は、2年前にすい臓がんと診断されました。姉が保険料を負担し短期保険証の発行を受けて、抗がん剤治療を開始。ただ、1回5万円が必要だったので1回で断念しました。その後、また無保険になり、衰弱しているところを発見されて救急搬送されました。がんは末期の状態でした。

 一方、24件(49%)は国民健康保険証などの保険証を所持していました。がんと診断され治療を勧められた80代男性は、「入院になれば(医療費が)高額になる」として治療を諦めました。その後、痛みに耐えられず救急車を呼びました。がんは多臓器に転移していました。報告書は、「保険証を所持していても窓口負担などが理由で受診できない実態がうかがえる」と述べています。

 事業所への相談・受診に至った経路では、「救急搬送」が21件となり、外来受診などの他の経路を圧倒しました。「困窮から受診をがまんし、限界に達した事例」としています。

 報告書は、無保険者をつくらせない抜本的な対策や医療費の窓口負担はなくすべきだと述べています。会見で全日本民医連は、「事例は氷山の一角だ」と指摘しました。


pageup