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2024年3月20日(水)

主張

自民党大会

裏金を解明せずに危険な暴走

 「深い反省の上に、政治の信頼回復に向けて、私自身が先頭に立って自民党改革、政治改革を断行することをお約束する」。岸田文雄首相・自民党総裁は17日の党大会の演説で裏金事件についてこう豪語しました。しかし討論もなく拍手のみで採択された運動方針には裏金解明の「か」の字もなく、首相の言葉はむなしく響きます。

証人喚問で真相を語れ

 党則・規律規約で処分を強化すると言いますが、真相解明抜きにまともな処分ができるはずがありません。しかも、企業・団体献金を温床にした今回の裏金事件は、特定の企業(業界)が特定の政治家に賄賂を渡し政治をゆがめるのでなく、主要派閥がそろって政治資金収支報告書を偽造していた党ぐるみの組織的犯罪です。特定議員の処分では済まされません。

 真相解明に背を向け妨害する自民党の姿勢は驚くばかりです。党大会を前後して衆参両院で政治倫理審査会(政倫審)が開かれました。日本共産党など野党側は自民党調査で判明した裏金議員83人(衆院51人、参院32人)の出席を求めていますが、弁明に応じたのは安倍派幹部ら8人と二階派幹部1人の計9人にとどまります。

 しかも真相を隠す弁明ばかりです。20年以上前に始まったとされる安倍派の裏金システムはだれが何のためにつくったのか。参院選の年に改選議員に裏金が全額還流していたのは選挙買収のためではないのか。2022年4月にいったん決まった還流の廃止が、安倍晋三元首相死去後の同年8月に「復活」した経緯に当時の派閥幹部はどう関与していたのか―。こうした問いに安倍派幹部らは「覚えていない」「一切関与していない」「(資金は)秘書に任せていたので知らない」の一点張りです。

 岸田首相は党大会で、茂木敏充幹事長に裏金議員の処分内容を具体化するよう指示し、自らを含む党幹部が全国各地で党員らの声を聞く「政治刷新車座対話」に取り組むとも述べました。しかし、裏金議員たちの大半はなおも説明を拒み、口を開けば裏金づくりが自然現象で生まれたかのような言い訳です。「党員の声を聞く」車座対話よりも、いまやるべきは「国民に真相を語る」証人喚問です。

 重大なのは、党ぐるみの組織的犯罪の認識も反省もできなくなった自民党が、財界・大企業と米国の要望に応えることで生き残りに活路を求めていることです。

 党大会の運動方針は、国民が求める消費税減税には目を向けず、官民投資や新たな法人税額控除の創設など財界向けの政策を列挙しています。敵基地攻撃能力保有と大軍拡、殺傷武器輸出解禁など米国言いなりで「戦争国家づくり」に突き進む方向を強めています。岸田首相は憲法改定について「総裁任期中に実現するとの思いのもと、今年は条文案の具体化を進める」と踏み込みました。

国民的大運動を広げて

 これらは、自民党が国民に語るすべをなくしたがための暴走政治にほかなりません。世論調査では国民の9割が裏金議員の説明に「十分に説明したとは思わない」と答えています。「裏金事件で揺れる自民党に増税や改憲を語る資格はない」との怒りが全国で広がっています。自民党政治を終わらせる国民的大運動をさらに広げようではありませんか。


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