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2024年3月19日(火)

安倍派幹部全員の証人喚問必要

しら切る下村元文科相

衆院政倫審

写真

(写真)下村博文元文科相(左)に質問する宮本徹議員=18日、衆院政倫審

 自民党派閥の裏金事件をめぐる衆院政治倫理審査会が18日に開かれ、清和政策研究会(安倍派)事務総長を務めた下村博文元文部科学相が出席しました。事務総長経験者など同派の主な幹部が政倫審で弁明しましたが、どの幹部も裏金づくりについて「わからない」「関与していない」としらを切り通しました。真相解明のために、偽証罪に問われる証人喚問で、清和会元会長の森喜朗元首相を含め派閥幹部全員を問いただす必要性が浮き彫りになりました。

還流復活経緯「わからない」

違法性認識「ない」 無責任説明繰り返す

 焦点となっているのは、安倍派の政治資金パーティー収入のキックバック(還流)が継続された経緯です。安倍派では2022年4月、当時会長だった安倍晋三元首相が還流廃止を打ち出したものの、安倍氏死去後の同年8月の幹部会合後に還流が「復活」。下村氏も会合に出席していたキーパーソンです。

 会合に出席した他の幹部は「結論は出なかった」(西村康稔前経済産業相)、「話し合いの中で(還流)継続になった」(塩谷立元文部科学相)と述べ証言が食い違っています。

 この問題を問われた下村氏は「8月の会合で継続を決めたということは全くない」「還付はやめるという前提で8月の議論があった」と主張。還流継続が決まった経緯については「私自身が関与したことはない。どこでどんな形で決まったかは分からない」と無責任に繰り返しました。

 裏金づくりの継続はいったい誰が決めたのか―。下村氏は、裏金づくりにかんし「長年の慣行として会長と事務局長で政治資金の取り扱いが行われていた」と説明しています。

 立憲民主党の寺田学議員は、安倍氏の死去後に清和会元会長の森氏が派閥人事などへの関与を強めていたとの報道を示し「(森会長は)派閥運営にも影響力が強かったのでは」と追及。日本共産党の宮本徹議員は「森元会長は事務局長と話ができる関係か」とただしました。下村氏は「全く承知していない」「聞いたことがない」と述べるのみでした。

 安倍派幹部らが裏金作りの違法性を認識していたかも問われます。下村氏は、会合で還流の代替案として「個人の(政治資金)パーティーに上乗せして、収支報告書で『合法的』な形で出すという案もあった」(1月31日の記者会見)と述べています。

 下村氏は、この案を誰が提起したかについては「覚えていない」と主張。違法性の認識については「キックバックが違法とは認識していなかった」と強弁しました。

 宮本氏は「パーティー券は一団体最大150万円しか購入できない。ノルマを500万円以上超えてパーティー券を売った人がいるのだから『これではうまくいかない』との指摘が出たのでは」と追及。下村氏は「個人の資金集めパーティーは派閥と違って年1回だけでなく何回も開くのでいろんなやり方がある」と弁明しました。

裏金「昨年暮れ以降知った」

自民議員からも批判 証人喚問も応ぜず

 下村氏は、政治資金収支報告書への不記載が2018年からの5年間で476万円あったことが分かっています。

 下村氏は、「ノルマを超えた分が清和研から還付されることは知らなかった」と弁明。「私の事務所では、基本的に毎年、ノルマ分のみを販売することを目標としていた」としつつ、19年以降は、「新型コロナによるパーティーの規模縮小に伴い、ノルマ額が半減したため、ノルマを超える分が発生した」と説明しました。

 ただ、下村氏が還付金の不記載を知った時期について、「秘書に確認した昨年暮れ以降だ」と述べました。

 では、派閥の裏金づくりがいつから、誰の指示によって始まり、継続してきたのか―。これまでの政倫審での安倍派幹部らの証言からは、派閥パーティー収入のノルマ超過分を還付する仕組みが始まった時期が1997~2000年ごろだと推察されます。当時の清和会会長は森喜朗元首相です。

 05年3月の共同通信の配信記事は、森氏や派閥幹部がホテルの一室で「氷代」とともにパーティー券の販売数に応じて上乗せした資金を収支報告書に記載していなかったと報道。日本共産党の宮本徹議員は「共同」の記事を「東京新聞」も1面で報じていたとして、「地元紙が1面で報じていたことを『知らなかった』と言う人の話を信用しろと言うのか。国民は信用できない」と批判しました。

 さらに、安倍派幹部の責任を問う声も。「知らなかった」との弁明をくり返す下村氏に対し、自民党の井出庸生議員からも「国民の納得が得られるのか」との声があがりました。

 しかし、下村氏は「中堅・若手も全く自覚なく今回のような不記載になってしまった。実は私自身も同じだ」と釈明。「責任を回避するつもりは全くない」と言いながら、下村氏は「国民に丁寧に説明し、政治責任を果たしていきたい」と言うだけ。

 日本維新の会の岩谷良平議員から「偽証罪に問われる証人喚問に応じるか」と問われると、「(政倫審)ここで説明している」「全く偽証していない」と開き直りました。

 宮本氏は、「一体全体、誰の判断でこのシステムが始まったのか、何ひとつ明らかにならなかった」と述べ、森氏を含めた派閥幹部の証人喚問を求めました。


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