しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2024年3月17日(日)

どうみる離婚後共同親権

 離婚後に共同親権を可能とする民法改定案が国会に提出されました。そもそも共同親権とは、子どものためになるのか、Q&Aで考えます。

 そもそも親権とは?

養育の義務と責任

 親権とは、親の権利ではなく、子どもに食事、教育や医療を受けさせ、子どもの財産を管理するなど、子どもに対する養育の義務・責任のことです。

 今の民法818条は「子は、父母の親権に服する」と定め、親の子どもに対する支配権ととらえられます。今国会に提出された民法改定案は「父母の親権に服する」との文言を削除し、親権を「子の利益のために行使しなければならない」としました。これは親権を子どもの権利を中心に捉え直したものといえますが、親権という用語や定義もなぜ変えなかったのかという疑問も残ります。

 明治憲法下の民法では、親権は父親にのみ与えられました。戦後の見直しで、婚姻中は父母双方に親権を与える共同親権とし、離婚後は父母どちらかの単独親権を原則としました。改定案は、離婚後の親権について、父母の話し合いで「双方または一方を定める」とし離婚後共同親権を初めて導入。父母が対立している場合、家庭裁判所が単独親権か共同親権かを判断します。

 子どもへの影響は?

利益損なう恐れも

 親権者は子どもの居所、教育(進学、通塾など)、医療(入院、手術、ワクチンなど)、財産などの重要事項を子どもの利益にそって決めることになります。

 離婚後共同親権では、子の進学などで父母の意見が対立したとき、家庭裁判所が決定者を決めます。父母の争い激化の恐れがあり、子どもの心理への負担が懸念されています。家裁の決定が遅れると、子どもの利益を損なう恐れがあります。

 訴訟リスク回避のために、医療機関などが、別居親の承諾サインを求めるケースが増え、たびたび承諾が必要になる可能性もあります。DVの被害に遭った同居親は、加害者との連絡が必要となる可能性があるため、反対の声をあげています。

 「子どもの意見」尊重の規定がなく、子どもが望まない決定や面会交流が強いられる懸念がある点も不十分さを指摘されています。子どもの本音を聴くのは、専門性と時間を要しますが、その体制も極めて不十分です。


pageup