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2024年3月14日(木)

論戦ハイライト

武器輸出は米・財界要求

「死の商人」国家にするな

参院予算委で山添議員

写真

(写真)質問する山添拓議員(右端)=13日、参院予算委

 日本共産党の山添拓議員は、13日の参院予算委員会で、岸田政権が昨年12月、「防衛装備移転三原則」の運用指針を改訂し、武器輸出を大幅に緩和した問題を取り上げ、「海外へ武器を売りさばくという発想は『死の商人』国家との批判は免れない」と批判しました。

 山添氏は、5日の参院予算委で、岸田首相が公明党の西田実仁議員の質問に対し、国際共同開発した次期戦闘機の第三国移転を巡り、「日本が要求する性能を実現するためには輸出による価格低減努力で貢献する必要がある」と述べたことをただしました。

 山添 輸出で販路拡大し、利益率を上げるということだ。海外へ武器を売りさばく発想は「死の商人」国家との批判を免れない。

 首相 装備品の共同開発は国際的な常識だ。必要な技術・機能を得るために共同開発に貢献することが、国民の命や暮らしを守り、国益につながる。

 山添氏は、経団連が2022年4月に発表した「防衛計画の大綱に向けた提言」で、武器輸出を位置付け、官民連携で進めるよう記していることを指摘。また、企業が契約上のリスクを負うのは難しいとして、政府が発注を受け、軍需産業が納品し、政府の責任で輸出する仕組み=日本版FMS(有償軍事援助)の創設を迫っていることをただしました。

 山添 当時の岸信夫防衛相に提言を建議したのが三菱重工の泉澤清次社長だ。政府の有識者会議で大軍拡をあおるなどもっての外だ。

 首相 国民の命を守るために必要な能力、性能を得るためにこういった取引を行っている。

 山添氏は、「平和国家」と繰り返す岸田首相に対し、外務省が05年に公表した「平和国家としての60年の歩み(ファクト・シート)」には、専守防衛、軍事費のGNP(国民総生産)1%枠など5項目の「平和国家としての実績」が記されているのに対し、岸田政権が真逆の大軍拡を進めていることを挙げ、ただしました。

 山添 日本の「平和国家としての実績」をことごとく壊している自覚があるか。

 首相 平和国家としての歩みは何ら変わらない。

 山添氏は「極めて不誠実だ」と指摘。「国際社会の現実は軍事力では平和を築けないことを示している」と強調しました。

 さらに、岸田政権は「三原則」と運用指針の改訂により、ライセンス(使用許諾)生産品は、これまで米国企業がライセンスを持つ部品を米国にのみ輸出できたのに対し、今後は、殺傷武器の完成品も米国などのライセンス元国に輸出できるように緩和しました(表)。

表

 山添氏は、政府は第一弾として地対空ミサイル・パトリオットを米国に輸出することを決めたと指摘。運用指針では、ライセンス元国から第三国への輸出について、「現に戦闘が行われていると判断される国」は除外されているものの、米国が日本からの輸入で在庫を補い、米国製のパトリオットをウクライナに提供すれば、米国の武器支援を日本が支えたことになるとして、次のようにただしました。

 山添 迂回(うかい)輸出ではないか。

 首相 米国からの要請に応じ、米軍のパトリオットミサイルの在庫を補完する。

 山添氏は「米国のミサイルの在庫不足はウクライナ支援にも充てている」と強調。「米国は少なくとも16カ国にパトリオットミサイルを輸出し、イスラエルまで含まれる」として、輸出をやめるよう求めました。

米国の地対空誘導弾パトリオットの輸出先使用国・地域(調達中含む)

ドイツ、ギリシャ、イスラエル、日本、ヨルダン、クウェート、オランダ、ポーランド、カタール、ルーマニア、サウジアラビア、韓国、スペイン、スウェーデン、台湾、アラブ首長国連邦
Janes Land Warfare Platforms Artillery & Air Defence 2022~23、IHS Markit 2022から


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