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2024年3月13日(水)

主張

オスプレイ飛行再開

墜落原因伏せ強行とは異常だ

 墜落死亡事故を繰り返し「空飛ぶ棺おけ」とも呼ばれる危険な航空機が、事故原因を伏せたまま飛行を再開していいのか―。米軍は、昨年11月に米空軍の垂直離着陸機オスプレイが鹿児島県屋久島沖に墜落した事故を受けて実施していたオスプレイ全機種の飛行停止措置を解除しました。岸田文雄政権はこれを追認し、自衛隊オスプレイの運用も再開しようとしています。しかし、日米とも、事故の原因としている「特定の部品の不具合」について何一つ詳しく説明していません。国民や関係自治体の理解が得られるはずはありません。

米軍の意向を最優先

 米軍は8日、オスプレイの飛行停止措置の解除について「部品の不具合に対処し、安全な飛行再開を可能にするため、整備と手順の変更が実施された。米海軍、海兵隊、空軍は各軍の具体的なガイドラインに従って、それぞれ飛行再開計画を実施する」とだけ発表しました。具体的な部品名や、なぜ不具合が起こり、どのように墜落につながったのかなど、肝心の点は全く明らかにされていません。

 米国からの報道によると、米軍の担当者は「今回の特定の部品の故障は初めて」と述べています。一方で、飛行再開に当たり機材の改修は行わないとしています。飛行再開に際して実施されるのは「整備と手順の変更」だけです。

 防衛省によると、具体的には、異常探知システムによる予防的点検や維持整備の頻度の増加などの安全対策を講じるとしています。

 同省は「設計と構造に問題はない」と強調しますが、事故原因となった部品は全機種共通のものとしているのに、なぜそう断言できるのか、安全対策を取るだけで本当に飛行の安全が確保できるのかは検証しようがありません。

 重大なのは、米軍の意向に従い、防衛省も事故原因の詳細を隠していることです。

 木原稔防衛相は9日の臨時記者会見で「米側からは、事故の状況や原因、安全対策について、前例のないレベルで詳細な情報提供を受けて」いると述べ、米軍の判断は「合理的」と評価しました。一方で、「詳細な情報」を明らかにしない理由として「米国内法の制限」を挙げ、「大きな事故だから米国内で訴訟などの可能性もあることから(事故調査報告書の公表まで)つまびらかにすることはなかなかできない」と言い訳しました。

 しかし、墜落事故は日本国内で発生しており、日本の主権と国民の生命と安全にかかわる重大問題です。米国内法や訴訟という米軍の都合を唯々諾々と受け入れることは許されません。

日本からの撤去こそ

 木原防衛相はまた、飛行再開を急ぐ理由について「米側の事情もある」とし、「在日米軍だから島しょ防衛、あるいは日本の安全保障に資するためにオスプレイを運用していく必要性がある」と述べました。ここにも、米軍最優先で国民の理解を後回しにする姿勢があらわです。「日本の安全」を言うなら飛行させないことです。

 防衛省は関係自治体への説明後に飛行再開を強行する構えです。しかし、具体的な事故原因さえ示さず安全性への懸念を払拭するのは不可能です。オスプレイはこれまでも深刻な事故につながるさまざまな欠陥が指摘されています。日本からの撤去こそ必要です。


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