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2024年3月11日(月)

能登半島1.1地震

3.11の教訓は生かされたか

国は「住民が主人公」の支援を

共同支援センター責任者 藤野保史さんに聞く

 日本共産党が石川県羽咋(はくい)市に設置し、民主団体と協力・共同して運営する「能登半島地震被災者共同支援センター」には、被災地・被災者から現状の課題や要望など切実な声が寄せられています。東日本大震災の経験や教訓を踏まえて、いま何をすべきなのか同センター責任者の藤野保史前衆院議員に現状と課題について聞きました。(田中智己)


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(写真)「能登半島地震被災者共同支援センター」の開所式であいさつする藤野氏=2月22日、石川県羽咋市

 元日に発生した地震から2カ月がたちますが、能登半島先端の奥能登ではいまだ上下水道の復旧ができず、断水が続く地域がかなり残されています。段ボールベッドや食料など物資の面でも必要なものがまだまだ足りないという声も届いています。センターに寄せられた声から分かるのは、命をつなぐための支援がいまなお奥能登で求められている現状です。

国が責任持ち

 避難所の生活環境もまだ劣悪で、非常に問題があるところが少なくありません。温かなバランスの取れた食事の提供など、避難所のあり方についてのガイドラインを作成したのは国です。だったらそのガイドラインが守られているのかどうかを国の責任でチェックし、できていないのなら必要な支援を実行するべきです。

 七尾市や羽咋市、内灘町など奥能登以外、さらには新潟、富山、福井の各県でも住宅などの被害が甚大で、今後どう生活していけばよいのかと悩む住民がたくさんいます。倒壊した住宅の解体・撤去などもほとんど進んでいません。金沢市には、多くの被災者が2次避難されていますが、同市の医療や介護がひっ迫していることが、党市議団の調査で明らかになっています。

 先日、センターとして政府への聞き取り調査を行い、政府に被災地の現状や要望を伝えましたが、返ってくる答えは道路のアクセス状況の悪さや宿泊場所がないなどの困難さがあるというものばかりでした。私たちも現地にいますから、政府が言うような復旧の困難さは十分認識しています。しかし、すでに2カ月たつ中で、その困難さを乗り越えなければ被災者が求める支援にならないこともはっきりしてきました。岸田文雄首相も「能登の特性に合った対策」を打つと言い、「できることは全てやる」と言っているのですから、目の前の困難を乗り越える対策を打ちだすことが国に求められています。

 私たちが出会った被災者の皆さんは「能登に戻りたい」「地域の人たちと一緒に暮らしたい」と強く願い、そのための必死の努力を続けています。しかし、見通しがなければ、再建に向けてがんばる気力を持ち続けることは難しいという声がたくさん寄せられています。

生きる希望を

 被災してマンパワーも足りない市町や県に復旧・復興の見通しを示せといっても難しいのが現状です。やはり、国がイニシアチブを発揮し「能登で生きていきたい」という住民の意向を最大限尊重し、見通しを示すことが必要です。

 東日本大震災など、これまでの災害における被災者の運動と国会論戦でさまざまな支援制度がつくられてきました。ただ、今回の能登半島地震ではせっかくつくられた制度を生かしていない政治の責任を強く感じています。

 「能登で生きていく希望」をどうつくっていくのか。東日本大震災で岩手県陸前高田市の住民たちは、住民同士で今後どう復興させていくか議論し、新しい街づくりを住民主導で行いました。こうした経験は私たちにとって大きな希望です。「住民が主人公」という立場を政治が貫いてこそ、「能登で生きていく希望」も生まれるのではないでしょうか。

 センターとしては、今後も現地の被災者からの聞き取りを徹底していきます。声にならない声をいかにつかんで支援につなげていくかに全力を尽くしたいと思います。全国の皆さんの支援を心からお願いします。


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