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2024年3月8日(金)

訪問介護事業所 3年連続 4割で赤字

報酬下げれば倒産に拍車

 政府・厚生労働省は来年度の介護報酬改定で、訪問介護の基本報酬を2~3%引き下げようとしています。ところが「約4割の訪問介護事業所が赤字」の状態が、少なくとも2020年度以降3年続いていることが本紙入手の厚労省資料で分かりました。基本報酬が引き下げられれば赤字事業所が増加、廃止・倒産に拍車がかかり、訪問介護サービスの基盤が壊滅的に損なわれる危険があります。

 政府・厚労省は、同省の「2023年度介護事業経営実態調査」で訪問介護事業所の収支差(利益)率が7・8%(22年度決算)と、介護サービス平均(2・4%)より高いことを引き下げの理由にしています。ところが同じ22年度決算で、赤字事業所が37%を占めていたことが判明(本紙5日付既報)。さらに本紙入手の同省資料で、20、21年度決算でも赤字事業所がともに41%に上ることが分かりました。

 「4割が赤字状態」が恒常化するなか政府は9年ぶりに主な訪問介護基本報酬を引き下げることになります。15年に3%程度引き下げたときより少ない報酬単価もあります。介護関係者や市民が「撤回」を求め、8日も院内集会を開きます。

 東京商工リサーチによると昨年の訪問介護事業者の倒産は過去最多の67件で、その96%が資本金1000万円未満、85%が従業員数10人未満の小規模・零細事業者です。厚労省の20、21年度決算でも、月当たり訪問回数が「200回未満」の小規模事業所は赤字でした。赤字事業所の多くは零細・小規事業者とみられます。

 大手企業が報酬単価の高い「身体介護」中心にシフト、同じ集合住宅を回り効率の良い住宅併設型で利益を上げるなか、住み慣れた地域で掃除、洗濯など「生活援助」を提供し在宅介護を支えている小規模・零細事業者の経営悪化が危惧されます。


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