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2024年2月28日(水)

主張

株価最高値

金融頼みのゆがみ正してこそ

 日経平均株価の終値が3営業日連続で史上最高値を更新しました。株価がバブル期の最高値を超える一方、生活の悪化や経済成長の停滞が深刻です。実質賃金は21カ月連続で低下し、ピーク時の1996年から年収にして74万円減っています。2023年の名目GDP(国内総生産)は世界3位から4位に落ち込みました。経済成長が止まったもとで株価が上がり、大企業・富裕層と国民の格差が広がる、いびつな姿です。「失われた30年」といわれる長期停滞は、暮らしを中心とした実体経済の回復で打ち破らなければなりません。

公的マネーでつり上げ

 株価はこの10年余で4倍近くに値上がりしました。“主役”は安倍晋三政権が始めた公的マネーの投入です。政府と日銀が主導して、禁じ手まで使って株価をつり上げました。

 大企業の株式で構成する、株式上場投資信託(ETF)を日銀が大量に購入し、株価を押し上げました。中央銀行が株式市場に資金を投じるのは異例の政策です。安倍政権は、公的年金積立金の株式運用を2倍に増やしました。

 「異次元」と言われる大規模な金融緩和は、金融市場に大量のマネーを供給し、円安を加速させました。ドルで評価した日本株は割安となり、大量の投機マネーが海外から日本市場に流れ込みました。特に今年1月以来、外国の投資家が日本株買いを急激に増やしています。海外主導の株高です。

 その一方、円安は、エネルギーや食料をはじめ輸入物価を上昇させ、物価高騰が国民の暮らしや中小企業の営業を直撃しました。株式投資の資金を持たない庶民には株高の恩恵がありません。

 「コストカット型」経済も株価上昇の要因です。大企業は、売り上げが伸びなくても利益を増やせる経営を強化してきました。30年間で大企業の売り上げは16%しか増えていませんが、税引き後の最終利益は11倍です。正社員を非正規雇用の労働者に置き換え、人件費を削ったことが、金融市場で収益力の向上とみなされ、株価の上昇につながりました。

 株主への配当が増える一方、賃上げは抑えられてきました。

 大企業の内部留保はこの10年間で180兆円膨らみ、510兆円を超えました。日本のGDPに近づくほどの巨額なため込みです。

 岸田文雄首相は、株価つり上げ政策をさらに進めています。就任前に掲げていた「金融所得課税の強化」を、首相になったとたんに投げ捨て、「資産運用立国」の旗を振っています。個人の預貯金を金融投資に動員する政策です。

賃上げと格差の是正を

 政治に求められている役割は金融頼みの政策ではありません。GDPの5割超を占める個人消費を活発にし、内需を増やすことです。大企業の内部留保に課税し、それを財源に中小企業を支援することをはじめ、政治が賃上げに責任を果たす必要があります。

 株価の上昇で巨額のもうけをあげている富裕層に応分の負担を求め、格差を是正することも政治の重要な役割です。株取引で得た所得への課税は、欧米諸国と比べて軽く抑えられています。株式譲渡所得にかかる税率を、高額所得者には欧米並みに30%以上に引き上げるなど、大資産家優遇を正す改革が求められます。


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