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2024年2月19日(月)

主張

中小企業の賃上げ

実効性ある直接的支援実現を

 物価の上昇に賃金の伸びが追い付きません。厚生労働省が6日発表した毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、2023年の現金給与総額(名目)に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年比2・5%減となり、2年連続で減少しました。

 総務省が同日、発表した家計調査では、23年の1世帯(2人以上)あたりの月額消費支出も2・6%減少しています。賃金の伸びを物価高騰が上回ったため、家計の節約が強まっていることを浮き彫りにしています。

 物価上昇を上回る賃上げを実現しなければなりません。

賃金が上がらない国

 2年連続で実質賃金が低下するもと、ますます賃上げの必要性は高まっています。

 とくに雇用の7割を占める中小企業では賃上げの波及が弱かっただけに、大幅な賃上げが実現するかが焦点となります。

 城南信用金庫が東京都と神奈川県の取引先833社に調査したところ、23年に「賃上げをしなかった」企業は55・7%と過半数を占め、「した」の44・3%を上回りました。賃上げをしない理由については、「原資がない」が69・7%で最多となっています。24年の予定については、「賃上げをする」と答えた企業が27・7%で、「賃上げの予定はない」の35・0%、「まだ決めていない」の37・3%を下回っています。賃上げを予定しない企業が多数派です。中小企業の賃上げを実現する直接的支援が求められています。

 民間信用調査会社の東京商工リサーチは、「コストアップへの打開策が見つからないなか、業績回復が進まず賃上げ余力の乏しい中小・零細企業に実効性ある支援が重要になっている」と指摘します。

 長期的に見て、日本は世界でも特異な「賃金の上がらない国」になっています。

 実質賃金は、1991年から2022年にかけて、アメリカは1・48倍、イギリスは1・46倍、フランスは1・33倍、ドイツは1・30倍になっていますが、日本は1・03倍にとどまっています。労働者の実質賃金は増えるどころか、1996年のピーク時から年64万円も減少しました。

 政府が、財界・大企業の目先の利益に応じて度重なる労働法制の規制緩和で非正規雇用を増やして人件費抑制策を進めたからです。中小企業に対しては大企業が単価たたきなどの下請けいじめをすることによって、中小企業の労働者の賃上げを難しくしてきました。

 苦しむ庶民に対して、円安を背景に過去最高益の更新をもくろむトヨタ自動車など、大企業は大もうけをしています。利益を積み上げた結果である大企業の内部留保は、10年間で180兆円も積み増していまや510兆円を超えています。

内部留保を活用せよ

 この10年間に大企業が増やした内部留保額に対して、毎年2%、5年間の時限的課税で10兆円の財源をつくり、社会保障の企業負担分の軽減などによって、税金を払っていない赤字企業でも賃上げの原資ができるようにして、中小企業の賃上げを後押しすることが必要です。大企業の賃上げ分についても内部留保課税にあたって控除し、賃上げすれば課税されない仕組みを実現することが重要です。


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