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2024年2月17日(土)

主張

裏金事件真相解明

国会での証人喚問 待ったなし

 自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件の徹底解明で、国会の果たす役割が重要になっています。自民党は所属全国会議員対象のアンケート調査に続き、15日には政治資金収支報告書に不記載のあった安倍派や二階派の国会議員らから聞き取った調査内容を公表しました。裏金化の時期や金額など新たに判明した部分はあるものの、国民が一番疑問に思っている裏金づくりの目的や使い道などは明らかにされていません。国会出席に強制力をもち、うその証言をした場合、偽証罪に問われる証人喚問で関係者をただすことは待ったなしです。

20年以上前の可能性

 聞き取り調査は森山裕自民党総務会長を責任者とした調査チームが行い、同調査に参加した外部の弁護士が報告書をまとめました。証言内容は全て匿名ですが、パーティー券収入のキックバック(還流)など裏金づくりの開始時期について、安倍派では「遅くとも10数年前から行われていた可能性が高い(場合によっては20年以上前から行われていたことも窺(うかが)われる)」、二階派でも「少なくとも10年前からは今の仕組みや処理になっていた」と長期にわたり組織的に行われていた実態を認めました。

 2004年9月10日付本紙は、安倍派の前身の森派(会長・森喜朗元首相)が、所属議員に「もち代」「氷代」と呼ばれる年間1億円の手当を出しながら5年にわたり収支報告書に記載していなかったと報じました。今回の報告書は、この報道を裏付けるものです。この点だけでも、会長だった森氏をはじめ当時の派閥幹部の証人喚問が不可欠です。

 重大なのは裏金調査と言うものの、誰が、いつ、何の目的で裏金システムをつくり、何に使ったのか究明されていないことです。報告書は裏金の「主な使途」として「会合費」「懇談費用」「人件費」「手土産代」など15の実例を列挙しましたが、相手先は不明です。キックバックについて、派閥の事務局から収支報告書に記載しないようにとの指示があったとしていますが、誰が指示したのか明らかにしていません。19年と22年の参院選時に安倍派の改選議員の裏金額が増え、選挙買収に使われたのではないかとの疑念にも答えていません。

 報告書は結論部分で、「自らが知る限りのことを詳(つまび)らかにし、更なる説明責任を果たしていくことが求められる」と議員個人に説明を促しています。今回の調査結果が極めて不十分であると告白したものです。「説明責任」を繰り返す岸田文雄首相は、自民党総裁として、調査対象にした国会議員らが国権の最高機関である国会の場で実態を明らかにするよう指示すべきです。

国政調査権の行使を

 政治的・道義的な疑惑がもたれた議員らが説明する場として、衆参両院の政治倫理審査会(政倫審)があり、いま開催をめぐり与野党協議が行われています。証人喚問のような出席の強制力はありませんが、世論で自民党を包囲し真相解明の第一歩として最低限、開く必要があります。同時に日本共産党は、憲法62条に定められた国政調査権を国会が行使し、裏金づくりに関与した議員らの証人喚問を行うよう求めています。まさにいま、国会の出番です。


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