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2024年2月16日(金)

29回党大会決定“突破点”

「人間の自由」が特質 若者に響く

社会主義・共産主義の魅力 「三つの角度」から解明

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(写真)党大会に参加した感想を語り合う青年代議員。奥右から2人目は田村副委員長、(左へ)志位委員長、小池書記局長、吉良青年学生委員会責任者=1月17日、静岡県熱海市

 第29回大会決定は、綱領のめざす未来社会を「『人間の自由』があらゆる意味で豊かに保障され開花する社会」「『人間の自由』こそ社会主義・共産主義の目的であり、最大の特質である」(決議4章)と特徴づけ、その魅力を三つの角度から明らかにしました。これは「綱領路線の発展に道を開く新しい解明」(6日の全国都道府県委員長会議での志位和夫議長の中間発言)となっています。未来社会論を語り広げる上でも、党建設をすすめ、とりわけ若い世代を党に迎えていく上でも大きな力となり、「未来社会論がうんと語りやすくなった」と歓迎されています。党大会でも、低賃金、長時間労働、高学費のもとで未来を模索する若い代議員から「本当にここがワクワクした」と語られました。

 今、空前の規模での格差拡大と気候危機をはじめ、世界で資本主義の矛盾が噴出しているもとで、“社会主義の新たな形での復権”の流れが強まっています。2019年に米国で複数の会社が行った世論調査では、若者と女性の中で社会主義への期待が膨らんでいることが示されました。米国・英国・カナダ・オーストラリアの4カ国を対象にした世論調査(22年)では、「社会主義は理想的な経済体制か」という設問に、18歳~34歳では4カ国すべてで「同意」が「不同意」を上回っています。

 これは一過性の現象でも海外だけの話でもありません。日本の若者も社会主義への関心を高めていることが党大会の討論で次々と語られました。同時に、そうした青年たちもさまざまな疑問を持っているだけに、決定の三つの角度からの解明が、真剣な模索を前向きに後押しするものとなっています。

 第一の角度――「利潤第一主義」からの自由は、「資本主義のままでいいのか」という疑問に、党の未来社会論をつなげる糸口になります。資本主義がもたらすさまざまな害悪は、資本主義に固有の「利潤第一主義」に根源があり、この「利潤第一主義」は、生産手段(工場、機械、土地など生産に必要なもの)が資本の手にあることから生じています。生産手段を社会全体の手に移す「生産手段の社会化」によって、生産の目的が「利潤第一主義」から解放され、搾取や抑圧、貧困や格差、繰り返される恐慌や不況、環境破壊などから人間は自由になります。

 未来社会における「自由」はそれにとどまりません。第二の角度は、労働時間の抜本的短縮によって「人間の自由で全面的な発展」が可能となることこそ、未来社会の最大の特質であり、そこに真の自由の輝きがあることを強調しています。自由な時間の拡大によって、誰もが自分の中に眠っている力を存分に伸ばすことができ、それが社会の発展を促進し、人間の自由をさらに豊かに広げるという好循環が生まれます。マルクス、エンゲルスが生涯を通して追求し続けた「各人の自由な発展が、万人の自由な発展の条件であるような一つの結合社会」(『共産党宣言』)という、人間解放の内容がここにあります。

 新潟県では、「社会主義を学びたい」と民青に加盟した青年労働者が、その後、未来社会が「人間の自由で全面的な発展」がはかられる社会であるという部分に、「ここに一番共感します」と言って入党しています。自分の可能性を発揮したいと願うすべての人々に共感と希望を広げうるものです。

 第三の角度は、「発達した資本主義国の巨大な可能性」です。「社会主義といえば中国、ソ連」「自由がなくなるのでは」というイメージもあるなか、発達した資本主義国での社会変革は、「人間の自由」の点でもはかりしれない可能性を持つという、壮大な展望が明らかになります。

 資本主義の中で形成され発展してきた「五つの要素」(高度な生産力、経済を社会的に規制・管理するしくみ、国民の生活と権利を守るルール、自由と民主主義の諸制度と国民のたたかいの歴史的経験、人間の豊かな個性)などの成果は、未来社会に引き継がれ、さらに発展させられます。旧ソ連や中国では、この諸要素が不十分な状態から革命が出発したという歴史的制約と、指導者の誤りがあいまって、「人間の自由」に逆行する現象が生まれました。日本における社会主義社会では、旧ソ連や中国のような「一党制」や人権抑圧を絶対に起こさないことの根拠は、党が綱領で明記した公約だからというだけでなく、発達した資本主義を土台にして変革を進めるという事実のなかにあるのです。

 愛知県では党事務所を訪ねてきた高校生と、「社会主義で民主主義が守られる保証はあるのか」など2時間近く社会主義談議になり、「マルクスはそこまで考えていたのですか。マルクス、すげー!」と新鮮な驚きが寄せられ、民青同盟への加盟につながっています。

 なぜ、この“21世紀の日本共産党の「自由宣言」”とも呼ぶべき文書を示すことができたのか。「しんぶん赤旗」日曜版の新年合併号で、志位和夫議長は、党の理論的探求がその土台にあったことに触れています。

 21世紀に入り、日本共産党は綱領の改定を2回行いました。2004年の綱領改定は、生産物の分配を基準に社会主義をとらえるという、61年綱領当時の国際的定説であった2段階論をあらため、「生産手段の社会化」を社会主義的変革の中心に位置づけ、「人間の自由で全面的な発展」を未来社会論の「核」にすえました。20年の綱領一部改定は、「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道」とし、その豊かな展望を明らかにしました。

 1990年前後の旧ソ連・東欧の旧体制の崩壊によって、「失敗が証明された体制」とされてきた社会主義に、新たな注目が広がっている今、この“自由宣言”は党建設でも決定的な力を発揮するでしょう。党大会では、過去30年間にない同盟員拡大の到達を築いた東京の民青グループの代議員が、未来社会論の魅力が青年に響く経験を紹介し、「若者のなかで大きな党と民青をつくる歴史的時期」であることを力強く語りました。今こそ未来社会論を大いに語り広げ、強く大きな党へと前進しましょう。(岩崎明日香・国民運動委員会副責任者)


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