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2024年2月16日(金)

主張

ゼロゼロ融資返済

中小企業を守る支援の強化を

 コロナ禍に続く、原材料・燃料価格の高騰に多くの中小・零細企業が苦しんでいます。

 企業業績が回復しないもとで、コロナ禍で実施された「ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)」などの債務の返済を求められる時期が昨年夏に続き、4月に再び本格化します。過剰債務の影響で倒産する中小企業が増加しており、対策が急務です。

4月に返済が再びピーク

 ゼロゼロ融資は、政府が中小企業への資金繰り支援として導入し、2020年3月から受け付けが開始されました。金融機関に都道府県が利子を補給し、信用保証協会が元本を保証することで実質無利子・無担保で融資をする仕組みです。返済の据え置き期間は、最大3年です。

 民間信用調査会社の東京商工リサーチのリポートによると、23年の全国企業倒産件数は前年比35%増の8690件です。8000件を超えるのは4年ぶりです。前年比では31年ぶりの大幅増加となりました。

 うちゼロゼロ融資を受けた後に倒産した企業は631件で、前年の約1・4倍に増加しました。ゼロゼロ融資後の倒産が初めて発生した20年7月から3年半の累計は1216件に達しました。

 東京商工リサーチは「24年4月にゼロゼロ融資の民間返済がピークを迎え、資金繰りが一段と厳しくなる企業が増えるとみられるだけに、24年の企業倒産は『1万件』の壁を超える可能性も出てきた」と警告しています。

 倒産企業を産業別に見ると、コロナ禍の直撃を受けた飲食業を含むサービス業などが、前年比67%増の221件で、全体の3割超です。飲食店では、コロナ禍の業況不振で財務内容が悪化したところで、食材費や人件費、光熱費が上昇し、コストアップに耐え切れずに事業継続を断念しているケースが増えました。

 従業員数別では、5人未満の330件(前年比63%増)が最多となりました。続いて5人以上10人未満の149件(前年比46%増)です。10人未満の小規模倒産が、合計479件で約8割を占めます。

 ゼロゼロ融資でもちこたえてきた小規模な企業が収益悪化で倒産していることを示しています。

 中小企業庁は、23年1月からゼロゼロ融資の返済負担を軽減する借り換え保証制度を始めました。しかし、利用には、「経営行動計画書」の四半期ごとの進展確認などが必要というハードルがあります。この間の倒産の増加は、施策が中小・零細企業に届いていないことを表しています。使いやすい制度や小規模事業者の債務の減免などに国の支援が必要です。

使いやすい制度を

 過剰債務をひとまず横に置いて事業を通常の軌道に戻すことが重要です。日本共産党は、ゼロゼロ融資をいったん「別枠債務」とすることで、新たな資金調達を可能とすることや、債務の減免を含めた政府の「中小企業・事業再生スキーム」を小規模な事業者にも使えるようにすることなどを提起しています。

 雇用や地域経済の重要な支え手でもある中小企業・零細企業を守り育てる取り組みが必要です。消費税を5%へ緊急に減税することやインボイス(適格請求書)中止を実現するべきです。


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