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2024年2月15日(木)

29回党大会決定“突破点”

党建設の歴史的教訓と大局的展望

なぜ後退 疑問にこたえ解明 歴史的チャンス生かす指針

写真

(写真)つどいで参加者の質問に答える志位和夫委員長(当時)=2023年9月24日、松江市朝日町

 志位和夫委員長(当時)は、第29回党大会の中央委員会を代表してのあいさつで、日本の未来をひらく強く大きな党をいかにしてつくるかが大会に課せられた最大の歴史的任務であるとして、「党建設の歴史的教訓と大局的展望」を明らかにしました。この解明は深く受けとめられ、大会がよびかけた党づくりへの新たな意欲を広げています。

 志位氏は、党大会に向けた全党討論で、大会決議案が示した党の最大の弱点、「1980年代以降、長期にわたる党勢の後退から前進に転ずることに成功していない」のはなぜか「もっと解明してほしい」との声が寄せられたと紹介。中央として行った党建設の歴史的な自己検討、最新の党組織の現勢調査への詳細な検討の結果を明らかにしました。

グラフ
グラフ

 1990年代、新入党員の「空白の期間」というべき時期がつくられました(グラフ参照)。1970年代に年3万人だった新入党員は1990年代に年6千人と大きく落ち込んでいます。党員の「党歴構成」でも党歴30年~39年が8・0%と落ち込み、50代以下の党員数の落ち込みにつながっています。

 なぜ「空白の期間」が生まれたのでしょうか。志位氏は、1980年の「社公合意」でつくられた「日本共産党をのぞく」壁、90年前後の旧ソ連・東欧の崩壊を利用した反共攻撃などの客観的要因だけに解消できない「重大な主体的要因」――「党員拡大を事実上後景においやる」誤った方針が「空白の期間」をつくる重大な一因となったことを明らかにしました。それが1987年8月の第17回党大会第8回中央委員会総会が決めた「党員拡大と機関紙拡大が党勢拡大の二つの根幹」という方針です。

 それまで党員拡大はあらゆる党活動の前進を支える「党建設の根幹」と位置づけられていました。党員を約1・5倍化させ40万人超へ前進させた1970年代、時々の方針で根幹としての党員拡大の重要性を多面的に明らかにするとともに、すべての支部が党員拡大の目標や支部建設の計画を持ち、中央方針の徹底と一体に党員拡大を全党員のとりくみとする努力が重ねられました。

 党員拡大の努力は「赤旗」を支える原動力となり、読者数は200万人(1970年6月、第11回党大会)から355万人(1980年2月、第15回党大会)へ党史上最高規模に引き上がりました。

 ところが、先の「二つの根幹」論で党員拡大の位置づけが後景においやられたのです。この方針は機関紙拡大を強調するために出されましたが、それ以降、党員拡大の位置づけが弱まり、「自然放任に近い状態」が続きました。中央の推進上も、「月間」や「大運動」でくり返し読者に重点がおかれるなど、「党員拡大を抑制する傾向」が表れました。

 この誤りは、2000年の第22回党大会で「『二つの根幹』は正確ではなかった」「党建設・党勢拡大の根幹は、党員拡大」「党のあらゆる活動――国民の要求にこたえる活動、政策宣伝活動、選挙活動、議会活動、機関紙活動などを担う根本の力」と正されました。

 問題は、方針を正して以降、党建設上の傷痕を自覚し打開する中央のイニシアチブが十分ではなかったことです。方針を是正するだけで傷痕の影響はなくなりません。志位氏は、この点に「中央の党建設の指導上の重大な弱点」があり、傷痕の影響が連鎖して後退傾向が続き50代以下が少なくなったことを明確にしました。

 傷痕の影響はさまざまな形で残されています。職場分野では、70年代に入党した労働者党員が40代・50代となり若い労働者を迎えるべき大事な時期に「空白」がつくられ、党建設の経験の蓄積にも断絶が起こりました。

 志位氏は、「今後の党建設に生かすべき最大の教訓」として、(1)「いかなる時でも党員拡大の自覚的なとりくみを継続的に発展させ、絶対に『空白の期間』をつくらない」、(2)「かりに何らかの事情で『空白の期間』が生まれた時には、それをただちに打開する特別のとりくみを行う」、(3)「党員拡大を10年先、20年先の党の将来を展望しての戦略的課題として位置づける」ことを明らかにしました。党大会が提起した党勢拡大目標――(1)第30回党大会までの2年間で第28回党大会時の党員・読者を回復・突破し、(2)2028年末までの5年間で3割増、10万人の50代以下の党員、1万人の青年・学生党員、数万の民青同盟を建設する――「空白の期間」を克服する重要な意義をもっています。

 大会決議は、「党勢を長期の後退から前進に転じる歴史的チャンスの時期を迎えている」(19項)と紹介します。客観的には自民党政治の行き詰まりや「共産党をのぞく」壁の崩壊、社会主義への新たな期待と注目など、「日本はいま新しい政治を生みだす“夜明け前”とも言える歴史的時期」にあること、主体的には「人間の自由」という角度から未来社会論を発展させたこと、第28回党大会の「第二決議(党建設)」などの方針を力に党員拡大を日常不断に追求する気風が広がり、民青同盟の前進など全党あげた世代的継承で前進の萌芽(ほうが)が生まれています。大会後も「自民党政治を終わらせたい」「未来社会の展望に共感した」など大会決定と響きあう若い世代の入党が相次いでいます。

 志位氏は、6日の全国都道府県委員長会議・中間発言で、党大会が提起した目標にかかわり、2020年代の党員拡大(年平均4300人)が1990年代をも下回ることを示し、大会が決めた2年間・5年間の目標は、1990年代の「空白の10年間」と2020年代の立ち遅れを一挙に打開する――二重の意味で立ち遅れを打開する目標だと明らかにしました。会議では、「歴史的教訓」を過去の話でなく今の課題として取り組む「引き締まった」「背筋の伸びる」議論が行われ、より位置づけが明確になった世代的継承に全世代が力をあわせて挑戦する決意を固め合いました。この2月、1万人以上に働きかけ1千人以上の新入党者を迎えて現勢で前進すること、入党者の6~7割を50代以下とすることは、その大事な一歩です。

 (吉岡正史・組織局次長)


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