2024年2月11日(日)
雇調金も軍拡財源
1964億円 「税外収入」を流用
宮本徹氏質問で判明
雇用を維持するための雇用調整助成金(雇調金)を軍拡財源に回す―。日本共産党の宮本徹議員の質問に対する鈴木俊一財務相の答弁(6日の衆院予算委員会)が波紋を広げています。なぜ雇調金を軍事費に回すことが可能か。その手口は2023年に成立した軍拡財源法の利用であることが判明しました。
問題となっているのは、24年度予算案で、労働保険特別会計から1964億円を、財務省所管の「防衛力強化特別会計受入金」に繰り入れ、「防衛力整備計画対象経費の財源に充てる」(鈴木財務相)というもの。防衛省は23年度から5年間で43兆円もの防衛力整備計画を立てています。1964億円は、コロナ禍で設けられた雇調金特例措置の余った財源です。宮本氏は「被災者救済が最優先で、財源の意義に照らせば能登半島地震特例の雇用調整助成金増額に充てるのが筋だ。心を寄せるところが違う」と指摘しました。
軍拡財源法は、軍事費捻出のために、国立病院機構や地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金や、外国為替資金特別会計などの「税外収入」を軍拡財源に回すもの。医療や年金などに回すべき積立金の流用に国民の怒りが高まりました。
今回の流用は、軍拡財源に充てる税外収入について定めた同法14条2項に基づきます。同項について鈴木財務相は「予算総則による国会の議決で(軍拡財源に充てる)税外収入の範囲を明確化する規定」(23年5月24日の参院本会議)だと説明しています。税外収入について具体的な限定はありません。
積立金などの税外収入は本来であれば一般会計に繰り入れて、社会保障や子育て予算などに使えますが、岸田政権は雇用や医療などに回すべき財源を軍拡に充てています。軍拡増税を先送りしている政府は、当面増税せずに税外収入などで軍拡分を賄うと主張しますが、税外収入の流用は、結局のところ国民負担の増加につながります。
雇用調整助成金 経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業や教育訓練などを行い、従業員の雇用維持を図った場合、休業手当や賃金などを一部助成する制度。