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2024年2月7日(水)

衆院予算委 宮本徹議員の質問

 日本共産党の宮本徹議員は6日の衆院予算委員会で、能登半島地震の被災者支援や医療・介護・障害福祉分野の賃上げ、自民党による裏金事件を取りあげ、岸田政権の問題点をただし、抜本的な対策を提起しました。裏金問題をめぐり、岸田文雄首相は真相解明に向き合わず、逃げの答弁に終始しました。


裏金

膿出し切る立場で調査を

岸田首相 消極答弁を連発

写真

(写真)岸田文雄首相に質問する宮本徹議員(左)=6日、衆院予算委

グラフ

 宮本氏は「全ての膿(うみ)を出し切る立場で調査しなければだめだ」と述べ、「聞き取り調査をする」と繰り返す岸田首相に具体的な調査内容をただしました。

 宮本氏は、5年分の不記載額しか調べていない自民党の全議員アンケートについて、「政治的責任をとるなら5年よりさかのぼって調べるべきだ」と追及。岸田首相は「刑事責任に関わる5年間を調査する」と述べるのみでした。

 宮本氏は、安倍派(清和政策研究会)の「裏金づくりのシステム」について、安倍派幹部が20年以上前からあり、“会長案件”だったと証言しているとして、当時会長だった森喜朗元首相への聞き取りや証人喚問を要求。岸田首相は森元首相への聞き取りについては答えませんでした。

 さらに宮本氏は、安倍派の事務総長だった下村博文元政調会長が政治資金パーティー収入の「還付」の違法性を認識していた趣旨の発言を記者会見で行ったと指摘。「違法性の認識について聴取するか」とただしました。岸田首相は「違法性の認識も(不記載の)経緯に含まれており、確認する」と答弁しました。

 裏金の使途をめぐって宮本氏は2019年と22年の参院選の年には、改選議員が集めた資金を全額還流していたとされる問題を挙げ、「公選法違反はないかというのは聞いているか」と追及。岸田首相は「指摘の点も含め使途について聞き取る」と述べました。

 宮本氏は、河井克行元法相による19年参院選での大規模買収事件では、裏金を受け取っていた河井陣営が地方議員らを買収していたと指摘。「地方議員はお金がないと動いてくれない」とした安倍派の参院議員の証言(「朝日」報道)を示し、「地方議員の調査も必要だ」と迫りました。岸田首相は「(調査範囲は)進捗(しんちょく)を見て判断する」と述べただけでした。

企業・団体献金

金の力で政治歪める賄賂 全面禁止こそ

首相「民主主義のコスト」と正当化

政党への企業献金を禁止

フランス、カナダ、韓国、
ベルギー、スペイン、
ポーランド、ギリシャ、
ハンガリー、
ルクセンブルク、チリ、
エストニア、イスラエル、
メキシコ、スロベニア、
コスタリカ、ラトビア、
リトアニア、アメリカ

国会図書館提供資料から

 裏金の原資となったパーティー券を誰が買っているのか―。宮本氏は、政治資金パーティー券の多くを企業・団体が購入し、パーティーが企業・団体献金の抜け穴になっているとただしました。

 宮本氏は、岸田派(宏池政策研究会)や、岸田首相の政治団体が開催した政治資金パーティーについて、企業・団体の購入額がいくらかを追及しました。岸田首相は「政治資金収支報告書の定めに従い公開している。それ以上は答えを控える」と答弁を拒否。宮本氏は「調べようともしない」と批判しました。

 宮本氏は、政治資金規正法では、企業・団体が寄付できるのは政党と政党の政治資金団体だけだが、派閥や議員の政治団体のパーティー券の多くを企業・団体が購入していると指摘。「派閥や議員のパーティーは、企業・団体献金の脱法的な抜け穴になっている」とただしました。

 さらに宮本氏は、「赤旗」日曜版に掲載されたゼネコン関係者の証言を紹介。岸田事務所の秘書が、ゼネコン各社の担当部署を訪れ、パーティー券を置いていくとの証言を示し、「事実か」と迫りました。岸田首相は「報道のような事実はない」としつつ、ゼネコン各社がパーティー券を大量購入しているかどうかは答えませんでした。

 宮本氏は「そもそも、企業・団体献金は、本質的に賄賂性を持つ」と指摘。衆院が公表したオーラルヒストリーの中で、「政治改革」の当事者だった河野洋平元議長が「庶民から企業の方へ政策のウエートがかかって、企業献金が政策の歪(ゆが)みを引き起こしている」との証言を紹介し、「企業・団体献金がお金の力で政治を歪めている認識はあるか」と迫りました。

 岸田首相は「河野元議長の考え、政治経験を述べたものだ」「政党助成金は民主主義のコストだ」などと正当化しました。宮本氏は1994年に政党助成金制度の創設と引き換えに企業・団体献金の禁止が合意されたと反論。その合意の当事者である河野氏が、「公費助成が実現したら、企業献金は本当は廃止しなきゃ絶対におかしい」と述べているとして、「政党助成金と企業・団体献金の二重取りを続けることは許されない」と批判しました。

 宮本氏は、政党への企業献金はアメリカ、フランス、カナダ、韓国など多くの経済協力開発機構(OECD)加盟国で禁止されていると指摘。日本共産党が企業・団体献金も、政党助成金も受け取らずに活動していることを挙げ、「個人からの浄財で政党活動はできる」と強調し、企業・団体献金の廃止を迫りました。

能登地震被災者支援

雇調金拡充 コロナ並みに

首相「同一に論じられない」

雇用調整助成金
  能登半島地震特例 コロナ特例
日額上限 8490円 1万5000円
助成率

大企業2/3

中小企業4/5

最大10/10
厚生労働省ホームページから

 宮本氏は能登半島地震で被害を受けた事業者が雇用維持と従業員確保で苦境に陥っているとして、雇用を維持するための雇用調整助成金(雇調金)の震災特例をコロナ特例並みで実施するよう求めました。

 雇調金は企業が従業員に支払った休業手当の一部を助成する制度です。宮本氏は能登半島地震特例は日額上限も助成率もコロナ特例より貧弱だと指摘(表)。「雇用を守り人材流出させないことは生業(なりわい)再建の大前提だ。コロナ並みに日額上限や助成率を引き上げるべきだ」とただしました。岸田首相は「(コロナ特例は)特有の事情で引き上げが行われた。同一に論じることはできない」と強弁しました。

 宮本氏は「被災者は建物も機械も損傷し大変だ。被災者に寄り添うべきだ」と要求。岸田首相は「現地の事情にも細かく配慮した制度を用意している」と述べるのみでした。

 宮本氏は、政府の2024年度予算案ではコロナ時に雇調金のため労働保険特別会計に繰り入れていた1964億円を一般会計に戻すとしているとして、使途をただしました。鈴木俊一財務相は「防衛力整備計画対象経費の増額に充てる」と述べ、大軍拡の財源に充てることを認めました。宮本氏は、「雇調金を引き上げ被災地のために使うのではなく、防衛省予算倍増に使うことは心を寄せるところが違う」と厳しく批判しました。

医療・介護・障害福祉

賃上げ 全産業平均並みに

首相 低い伸び率に固執

グラフ

 宮本氏は、賃金水準の低い医療・介護・障害福祉の分野の賃上げについて全産業平均並みに引き上げるよう迫りました。

 宮本氏は、昨年の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が3・8%増で、2024年度の政府の物価見通しの2・5%増を足しても「昨年と今年で6・3%賃金を上げないと物価に追いつかない」と指摘。昨年の春闘での介護のベアは平均0・5%であり、政府の24年度予算案で盛り込まれた医療・介護・障害福祉のベア2・5%では「人材確保の危機は解決できない」と訴えました(グラフ)。

 岸田首相は「24年度の全産業平均の1人当たりの報酬の伸びが2・5%と、物価上昇率と同水準と見込まれる」などと答弁。宮本氏は「昨年の分を補わなければ人材流出が続く」と批判しました。

 政府は、最も人手不足が深刻な訪問介護の基本報酬を削減しようとしています。宮本氏は、全国ホームヘルパー協議会や日本ホームヘルパー協会の「さらなる人材不足を招く」とする抗議文を紹介。「厚生労働省の調査でも訪問介護事業所の36・1%は赤字だ。基本報酬を減らしたら撤退する事業所が広がる」と追及しました。

 武見敬三厚労相は、訪問介護の基本報酬を減らす一方で、処遇改善加算は「高い加算率を設定している」などと釈明。宮本氏は「小さい事業所ほど処遇改善加算は取れていない。訪問介護事業所の倒産は過去最高だ。このうえ基本報酬を減らすのは、あり得ない判断だ」と批判し、報酬削減をやめるよう要求しました。


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