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2024年2月7日(水)

PFAS許容 欧州の60倍超

食品安全委が摂取量指標値

 国の食品安全委員会は6日、米軍基地や工場周辺の地下水などで汚染が広がり、健康への影響が懸念されている有機フッ素化合物(総称=PFAS)の一種であるPFOAとPFOSのヒトの1日の許容摂取量について、それぞれ体重1キログラム当たり20ナノグラム(1ナノグラムは10億分の1グラム)とする指標値を定めた評価書案を了承しました。PFHxSについては「指標値の算出は困難」としました。パブリックコメント(意見公募)を3月7日まで実施します。

 欧州食品安全機関が2020年に定めた許容摂取量は、これら3種類とPFNAの4種類のPFASの合計で(1週間に)体重1キログラム当たり4・4ナノグラム。これと比べると、今回の指標値は60倍を超える計算です。

 評価書案は、昨年2月に同委員会が設置した作業部会が、先月26日までの議論をもとにまとめたもの。動物実験やヒトの疫学研究の結果、海外機関による評価などを踏まえて検討したとしています。ただ、指標値の算出には、海外評価機関が厳しい値を出しているヒトの疫学研究を排除し、動物実験のみを根拠として使いました。

 世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関が昨年11月に公表した評価結果で、PFOAを「ヒトに対して発がん性がある」と分類しているにもかかわらず、今回の評価書案では「情報が不十分」などとして、十分な根拠を示すことなく指標値算出の際に発がん影響を考慮しませんでした。

 PFAS問題に詳しい小泉昭夫・京都大学名誉教授は、今回示された許容量を摂取し続けた場合に、疫学データから健康影響が懸念される血中濃度レベルをはるかに超えることなど、問題点を指摘しています。


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