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2024年2月3日(土)

「賃金・人員改善されず」

ヘルパー国賠訴訟 請求は棄却

東京高裁

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(写真)閉廷後「原告の主張一部認める」の、のぼりを掲げるヘルパー国賠訴訟の原告と弁護団=2日、東京高裁前(東京都千代田区)

 非正規の「登録ヘルパー」の移動時間などに正当な賃金が払われず違法な状態に置かれているのは介護保険制度の構造的問題だとして、ホームヘルパー3人が国に1人330万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が2日、東京高裁でありました。谷口園恵裁判長は「直ちに規制権限不行使の違法があるとは言えない」と請求を棄却しました。

 一方で谷口裁判長は、法廷で判決理由を読み上げる「異例の対応」(同弁護団)をとり、ホームヘルパーが置かれた現状について「賃金支払いの法令順守や賃金水準の改善と人材確保が長年の政策課題とされながら、課題解消に至っていない事実は認められる」と認定しました。

 判決後、衆院議員会館で開かれた報告集会で弁護団は「判決に原告の主張が一部組み入れられたところは評価できる」と強調しました。あいさつした原告の藤原るかさんも「ホームヘルパーの労働環境を整えてほしいと訴えてきたが、有効求人倍率は15倍で、訪問介護は崖っぷちだ。裁判長は課題に踏み込んでくれた」と語りました。

 原告の佐藤昌子さんは厚生労働省が来年度介護報酬改定で訪問介護基本報酬を引き下げることに触れ「心が折れてしまう」と抗議。原告の伊藤みどりさんも引き下げが打撃だったが、裁判で主張が一部認められ「みんなを励ませる。追い風になる。引き下げは著しく不合理だ」と話しました。

 原告と支援者は国会前で訪問介護報酬引き下げへの抗議行動を行いました。東京都大田区の女性(65)は「親の介護でヘルパーに助けられた。自民党議員が裏金をつくりながら政府が訪問介護の報酬を引き下げるのは許せない」と訴えました。


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