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2024年2月1日(木)

能登半島地震1カ月 避難所に暮らす人々は…

少し改善も問題山積み

「地震は夢やったんか」と思うけど、外出るたび現実に戻される

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(写真)段ボールのベッドと間仕切りが入った体育館の避難所=31日、石川県能登町松波(佐藤研二撮影)

 能登半島地震の発生から1日で1カ月となります。避難所で暮らす人々は何に困り、どんな問題に直面しているのでしょうか。

 「毎朝、起きるたびに『地震は夢やったんか』と思うけど、外に出るたびに現実に引き戻される」

 こう話すのは石川県珠洲市の蛸島小学校で避難生活を送るAさん(58)です。自宅は地震で傾き、勤務先のお菓子会社は断水のため、操業停止で再開は見通せません。「ようやく楽できる年齢になったと思った矢先での地震。まだ働き続けないといけないのかと思った」といいます。

洗濯機がない

 地震から3週間ほどたって、ようやく段ボールベッドが運ばれ、段ボールの仕切りもできました。トイレも当初よりは改善したといいます。

 「食生活もボランティアの方が来てくれて栄養を考えた炊き出しをしてくれるのがうれしい。自分たちだけで何かをやる元気が出ない中で、外からの応援が本当にありがたい」と語ります。

 能登町の町立松波中学校には今も70人ほどが避難生活を送っています。ここでも地震から2週間ほどたってから段ボールベッドが導入されました。記者が5日に取材に訪れた際には、もっと多くの避難者が体育館におり、雑魚寝に近い状態でした。

 かなり生活状況が改善したように見えますが、元漁師の男性(78)は「この避難所に洗濯機が無いので困る」と語ります。

 男性は「下着や服は、着替えが必要になるたびに買っていてお金がかかってしょうがない。ここに避難した時、9万円持ってきたのに、服買うのに6万円近く使って、2万円しかない」とこぼします。

 能登町内の避難所で暮らす人の中には、車で3時間以上かかる金沢市内のコインランドリーで洗濯をする人もいるといいます。

 能登町職員で、松波中学校避難所の施設管理班長のBさんは「食事は、最初の2週間は不足気味でしたが、今は非常食や缶詰が集まって3食が出せるようになった。今日の昼食は、炊き出しのシチュー丼。夕食はアルファ米のご飯と缶詰になると思う」といいます。

受診の足ない

 医療支援に来ているNPO法人ジャパンハートの原田雅美さんは「避難する高齢者にとっては移動の足がないのが悩み。受診のためのタクシー代が高齢者の自費。車で30分もかかる病院にタクシーでいったら、どれくらいかかることか」といいます。

 原田さんは「医療機関が受診を再開するので、医療支援も撤退に向かう中、受診しづらい状況をどうするか。一方でデイサービスや在宅などの福祉サービスが再開できておらず、利用者の症状が悪化して福祉から医療が必要にならないか懸念しています」と語ります。(矢野昌弘)


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