しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2024年1月31日(水)

主張

首相の施政方針

国民の思いに添う言葉どこに

 内閣支持率の低下・低迷が続く中、岸田文雄首相が施政方針演説を行いました。能登半島地震や物価高などで国民が苦しみを深め、裏金事件で自民党政治への不信がかつてなく高まっています。首相の口からは、自らの責任への言及も、打開に向けた決意も聞かれませんでした。被災者や生活苦を抱える人たちが聞きたいのは、空疎な言葉の羅列ではなく、暮らしを支える実効性ある対策です。

裏金究明しない無責任

 自民党派閥の政治資金パーティー収入を巡る裏金事件について「おわび」「反省」を口にしたものの、党総裁として調査・究明にイニシアチブをとるとは一切言いません。あまりにも無責任です。

 誰がなぜ裏金をつくり、何に使ったのか、派閥幹部の指示はどうかの解明が急務です。パーティー券購入を含む企業・団体献金を全面禁止すべきです。それ抜きに「政治の信頼回復」と言っても、国民の不信は募る一方です。

 能登半島地震については「厳しい状況が幾重にも重なりました」と、道路事情や高い高齢化率などを挙げました。どのような条件があろうと、過酷な避難環境の長期化は放置できません。石川県輪島市と珠洲市の避難所を訪れた首相に対して被災者は、水を、住まいを、と訴えました。その思いをどう受け止めたか問われます。

 石川県内の住宅被害は4万4000棟以上です。被災者生活再建支援法による支援金は最大でも300万円で、「これでは家を再建できない」との声は切実です。

 施政方針演説で「異例の措置でもためらわずに実行する」と言うなら、建築資材の価格高騰も考えて、住宅再建に必要な現実的な金額になるよう、支援金を大幅に引き上げなければなりません。

 「岸田政権の最大の使命」とする「経済の再生」についても、賃上げに向けて政治がどう責任を果たすかが抜け落ちています。「政府による公的賃上げ」を行うと述べました。しかし、2024年度の医療・介護・障害福祉の報酬改定は物価上昇に追いつきません。他産業との格差を解消する大幅賃上げを、という要求に応えることが政府の責務です。

 雇用の7割を占める中小企業の賃上げについて首相が示した方針は、実効性がない賃上げ減税です。与党税制改正大綱すら、内部留保の膨張に言及しているのに、施政方針演説には、内部留保を賃上げに回すよう大企業に求める言葉は一つもありません。

 「物価高を上回る所得の実現」を掲げるのであれば、物価全体を下げる消費税減税に踏み出すべきです。少なくとも、検討すらしない姿勢は改める必要があります。

退陣に追い込む世論を

 5年間で43兆円の大軍拡については「着実に具体化」し、財源確保についても方向性を明確化するとしています。24年度予算案では約8兆円もの異常な軍事費を計上しました。

 改憲については「自分の総裁任期中に改正を実現したい」として「先送りできない課題」に挙げました。憲法9条を踏みにじり、敵基地攻撃能力の保有でアジアの緊張を高める大軍拡と改憲を優先課題とするのは重大です。

 国会論戦で岸田政権の姿勢を厳しく追及し、世論の力を高めて退陣に追い込む時です。


pageup