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2024年1月30日(火)

主張

裏金事件集中審議

首相への不信は募るばかりだ

 自民党派閥の政治資金パーティー収入を巡る裏金事件を受け、衆参の予算委員会で「政治とカネ」問題の集中審議が行われました。施政方針など政府4演説の前に予算委の審議が行われるのは極めて異例です。審議の冒頭、岸田文雄首相は「自民党総裁として心よりおわびする」などと表明しましたが、裏金の実態を語らず、説明責任を果たす姿勢はありません。言葉だけで陳謝しても、国民の信頼を得ることはできません。

説明責任の放棄許されぬ

 「裏金事件を受けた自民党の取り組みは信頼回復につながるとは思わない」84%、「派閥幹部が説明責任を果たしているとは思わない」91%、「自民党の政治刷新本部の中間とりまとめを評価しない」55%―「毎日」29日付の世論調査の結果です。裏金の全容を明らかにせずに、小手先の場当たり的な対応で済まそうとする自民党の姿勢を国民は見透かしています。

 審議の中で岸田首相は「実態把握につとめる」などと言いましたが、あまりに遅すぎます。自民党の主要派閥の政治資金収支報告書の多額の不記載について本紙日曜版が報じたのは一昨年の11月です。疑惑が指摘されても長らく放置してきた自民党総裁としての責任を免れることはできません。

 首相は、政治資金収支報告書を訂正したのは、安倍派で30人以上、二階派で7人ということしか述べませんでした。90人以上所属する安倍派の大半が還流を受けたとされているだけに、首相の説明は不十分極まります。

 首相が派閥会長だった岸田派の不記載事件も解明は尽くされていません。東京地検特捜部は、2018~20年に3059万円のパーティー収入の不記載があったとして岸田派の元会計責任者を政治資金規正法違反で起訴しました。

 岸田派は20年の政治資金収支報告書を訂正しパーティー収入額を896万円増額しました。しかし、パーティー券購入者数は2218人と変わっておらず、不可解です。集中審議で、この問題を追及した日本共産党の塩川鉄也衆院議員に対し、首相は「精査を続ける」と答弁しました。「事務的ミスの積み重ね」などとごまかすことは許されません。

 日本共産党の山添拓参院議員は、派閥の政治資金パーティー収入についての仕組みが、派閥所属議員に多額の資金を還流させ、お金を山分けするものになっている問題を指摘しました。

 政治資金パーティーを巡る裏金づくりをシステム化させた自民党の構造的問題を洗いざらい国民の前に明らかにすることが必要です。派閥から議員への還流、派閥に議員が上納しなかった「中抜き」、派閥による裏金のため込みなど不正・脱法行為はまん延しています。過去にさかのぼって調査をしなければなりません。

関係者を国会に招致せよ

 不記載は誰が何の目的で始めたのか。裏金はどのように使われたのか。安倍派と二階派の幹部をはじめ関係者を全て国会に招致し、真相を語らせることが不可欠です。岸田首相は全容を余すことなく国会に報告すべきです。

 徹底究明を進めることなしに再発防止はできません。金権政治を一掃するには、政治資金パーティーを含め企業・団体献金を全面禁止する以外にありません。


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