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2024年1月28日(日)

能登半島1.1地震

「危険」の家 1人残る

輪島 “避難所は感染不安”

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(写真)蔵の土壁が母屋との渡り廊下になだれ込んできたと説明する女性=26日、輪島市

 能登半島地震で震度7が観測された石川県輪島市では多くの家屋が倒壊し、道路は壊れ、人影はまばらです。多くの人が避難する中、さまざまな事情で自宅に残る人もいます。1人で自宅にいる女性を訪ねました。(小梶花恵)

 火災のあった朝市通りから川を挟んで数百メートルの距離にある鳳至(ふげし)町は、火災を逃れたものの多くの家屋が倒壊。立っている家にも「危険」の赤い紙や「要注意」の黄色い紙が貼られています。「危険」の紙が貼られた家に1人で残る70代の女性はその理由を話してくれました。

 女性の夫(76)は脳梗塞による半身不随で車いす生活です。「避難所に入れば良くても段ボールベッド。介護ベッドが必要な夫には使えず、車いすに座ったきりになってしまう」と。女性も2年前に肺がんを患ったため、新型コロナやインフルエンザの感染が増えている避難所で過ごすのは心配です。夫はその後、加賀市の病院に移りました。近所の人はほとんど離れ、ペットを避難所に連れていけない人だけが残っているといいます。

 女性の自宅は外見からは被害がないように見えますが、中に入ると床は傾き、天井が下がり、柱が床から浮いてあちこちに隙間ができています。発災後ずっと自宅で過ごし、お節料理の残りや冷蔵庫に残っていた食材を食べて過ごしました。

 電気は10日以上復旧せず、災害用に準備していた懐中電灯で明かりを取っていました。家を「危険」と判定した大工が「この家で一番安全」と示した部屋で1日の大半を過ごしています。

 水道はいまだに復旧していません。生活用水には、屋根に積もって雨どいに落ちてくる雪解け水を容器にためて使っています。ポンプで洗濯機に移し、さらに浴槽に移して風呂にも使っています。温水器の中の水も取り出して使いました。

 何度か自衛隊の仮設風呂に行きましたが、待っている間に風邪をひきそうになったため、何とか自宅で風呂に入れないかと考えました。ストーブで沸かした湯を少し張って上半身にタオルをかけてその上からプラスチックの袋をかぶり、冷えないようにしました。

 飲料用、料理用の水は1日に12リットル必要で、3日に1度もらいに行っています。女性は「困ることはたくさんあるけど工夫してやっている。一番困るのは水がないこと」と話しました。


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