2024年1月26日(金)
陸自幹部らの靖国集団参拝
「私的」釈明 通用せず
自主ルール二つ破る
「私的な参拝」―。靖国神社を訪れた閣僚や国会議員が、憲法違反と言われないために多用するこの言葉。私的と公的の参拝を分ける基準は、どこにあるのでしょうか。その基準に当てはめると陸上自衛隊幹部らの集団参拝(本紙10日付)は、どちらなのか―。(取材班)
玉ぐし料は自分の金 | 〇 |
公用車を使用しない | × |
公務員を随行しない | × |
公職の肩書で記帳 | ? |
※×は基準違反、〇は基準クリア、?は不明 |
毎年8月15日の終戦記念日ころに繰り返される閣僚などの靖国神社参拝。
自民党の三木武夫内閣(1974~76年)では、「公式参拝の4条件」という基準を示していました。
4条件とは、(1)玉ぐし料を国費で払ったか(2)公用車を使用したか(3)公務員を随行したか(4)記帳する際の肩書で公職を名乗ったか、となっています。それらのいずれにも当てはまらなければ、「私的参拝」とする“自主ルール”です。
今月9日に「年頭航空安全祈願」の名目で靖国神社を参拝した陸自ナンバー2の小林弘樹陸上幕僚副長(陸将)らの場合は、どうなるでしょうか。
取材班は小林副長らが靖国神社に到着したところから、去るところまで取材しました。
小林副長は行きも帰りも公用車の大型ミニバンに乗っていました。小林副長には、カバンを二つ持った秘書らしき男性が付き添っていました。カバンの一つは小林副長のものと思われます。
防衛省によると、玉ぐし料は、担当課が1人当たり2000円を参列者から徴収していたといいます。他方、記帳については明らかになっていません。
現時点でも4条件のうち二つで“自主ルール”違反です。参拝する間は、時間休を取得するなど、「私的」参拝に見せかけようとするものの、公的な集団参拝であることは明らかです。憲法20条が定める政教分離の原則に反するといえます。