しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2024年1月20日(土)

主張

自民派閥裏金事件

中枢政治家の責任逃れ許すな

 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で、東京地検特捜部は政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で安倍派と二階派の会計責任者を在宅起訴し、岸田派の元会計責任者を略式起訴しました。一方、安倍派の歴代事務総長を含む中枢幹部7人の立件は見送りました。パーティー収入での裏金づくりは派閥ぐるみの疑いが深まっています。派閥を取り仕切ってきた有力政治家の責任を不問に付すことはできません。岸田文雄首相は「岸田派解散」方針を持ち出しましたが、事件の全容を国民に説明していません。疑惑隠ぺいを許さず徹底追及が不可欠です。

億単位の裏金を組織的に

 安倍派では、時効にかからない2018~22年の5年間でパーティーに関する収入約6億7500万円が政治資金収支報告書に記載されていなかったとされます。同派の議員側では還流分約5000万円が未記載だった大野泰正参院議員と秘書が在宅起訴され、4000万円超が未記載の谷川弥一衆院議員と秘書は略式起訴となりました。安倍派の大半の議員は還流を受けているとされ、池田佳隆衆院議員は逮捕されています。

 しかし、同派の塩谷立座長、高木毅事務総長、下村博文元文科相、松野博一前官房長官、西村康稔前経済産業相の事務総長経験者、世耕弘成前参院幹事長、萩生田光一前政調会長については起訴されませんでした。裏金の経過や目的を知る立場であり、自身も裏金を手にしていただけに、検察の結論に国民は納得できません。システムとして違法行為をしていた政治家の責任こそ厳しく追及されなくてはなりません。

 安倍派では還流の仕組みは20年前に存在していたとされます。法律をかいくぐる脱法手法を誰が考え、慣習化したのかにメスを入れなければ再発防止はできません。

 二階派でも5年間で収入約2億6400万円が不記載でした。

 岸田派は18年から3年間のパーティー収入約3000万円が記載されていませんでした。麻生派や茂木派でもパーティー収入を巡る不記載は指摘されており、各派閥の問題ではなく、自民党内でまん延していた実態を浮き彫りにしています。岸田首相は岸田派の法律違反について「事務的ミス」と繰り返すだけで、構造的な問題を明らかにする姿勢がありません。

 政治資金規正法は、政党や政治家の政治活動を国民の不断の監視と批判の下に置くため、政治資金収支報告書の提出を義務付けています。同法を踏みにじり、不記載や虚偽の記載を続けてきたことは、国民を裏切り、民主政治の根幹を揺るがす犯罪です。絶対に曖昧にできません。

金権腐敗の根を断とう

 自民党内では岸田首相をはじめ有力幹部が「派閥の解散」を言い出しているのは、重大なすり替えです。真っ先に行うべきは、なぜ違法行為がまかり通り、温存されたかの徹底的な調査と真摯(しんし)な反省です。国会で全てを明らかにした上で、パーティー券を含めた企業・団体献金の全面禁止を決断すべきです。時事通信の世論調査(12~15日実施)では、自民党の支持率は14・6%で過去最低水準です。国民の怒りと不信は自民党政治そのものに対してです。金権腐敗の根を断つ世論を広げ政治を変えましょう。


pageup