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2024年1月16日(火)

日本共産党第29回大会

田村副委員長が中央委員会報告

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(写真)大会決議案についての報告をする田村智子副委員長=15日、静岡県熱海市

 中央委員会報告に立った田村智子副委員長は、大会決議案の章ごとに、(1)全党討論をふまえてさらに解明が必要と思われる問題、(2)決議案発表後の情勢の進展を踏まえて解明が求められる問題、(3)「党勢拡大大運動」の到達点をふまえて党建設の到達点と評価、教訓を明らかにし、29大会期の党建設の目標と方針の提案―の3点を中心に報告しました。

 第1章では、決議案が国際情勢から始まることが歓迎され、世界の本流と逆流を大局的にとらえることで「希望が見えた」「勇気が湧いた」という意見が多数寄せられていると紹介。決議案発表後の情勢として、イスラエルがガザ地区に住むパレスチナ人を他国に「移住」させる―追放するというさらなる国際法違反に突き進もうとしていることを批判し、一刻も早い停戦を求めました。

 その上で、世界の逆流と本流をとらえる点で改定綱領が生命力を発揮していると力説。日本やアメリカがロシアによるウクライナ侵略は非難するが、イスラエルのガザ攻撃は非難しないという「ダブルスタンダード」(二重基準)をとるもとで、日本共産党が「どんな国であれ覇権主義は許さない」という一貫した立場で対応できたその根本には、覇権主義とのたたかいをより普遍的な形で位置付けた改定綱領の力があると強調し、この「世界論」が世界の危機にさいして確かな羅針盤となっていると述べました。

 また、アメリカが軍事的覇権主義という排除の論理を振りかざしながら、包摂の論理を貫く東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携を求めざるを得ないという二面的な対応を行っていると指摘。世界の力関係の前向きの変化だと述べ、「アメリカの動向を『複眼でとらえる』ことは、世界の逆流と本流のせめぎ合いをリアルかつ正確にとらえる上でも重要だ」と語りました。

 世界の本流の発展については、核兵器禁止条約第2回締約国会議の大きな成果を強調。さらに、自身が参加した日本共産党代表団の東南アジア3カ国―インドネシア、ラオス、ベトナムの訪問について報告し、「日本共産党が長年にわたってASEANの取り組みに注目し、北東アジアの平和構築を真剣に探求してきたことが、ASEANの国々の側からの共感と信頼となって、一つひとつの会合で響きあい、意気投合し、深められていく場面を目の当たりにした」と実感を込めて語りました。

「二つのカギ」

 第2章では、岸田政権が末期的な状況に追い詰められる中で、「同時に、自民党政治そのものを終わらせることが、いま強く求められている」と訴え。日本政治の行き詰まりを打開する二つのカギを示しました。

 第一のカギは、あらゆる分野で国民運動を起こし、自民党政治を追いつめていくことです。(1)金権腐敗政治の徹底究明、企業・団体献金の全面禁止、(2)「失われた30年」を打開し、暮らしに希望が持てる政治を、(3)平和も暮らしも壊す大軍拡、「戦争する国づくり」を許さず、外交で平和をつくる、(4)人権後進国から先進国へ―の四つの柱で国民的大運動を大きく発展させることを提起しました。

 この中で、岸田政権が「世代間対立」をあおり、高齢者の医療費負担増や介護保険制度の大改悪―社会保障の大削減に踏み出そうとしていること、沖縄県名護市辺野古の新基地建設では「代執行」に踏み出し、民主主義も地方自治も踏みにじる暴挙に出ていることなどを批判。人権の問題では、ジェンダー平等の前進をはばむ勢力とのたたかいの中で、「自民党政治をかえることなくして現状をかえることはできない」と強調しました。

 国民運動と統一戦線の発展に関連して、決議案で役割が強調された「『自覚的民主勢力』とは何を指しているのか」との疑問について、日本の民主的改革のために、自覚的に統一戦線に結集する勢力のことだと解説。「自覚的民主勢力の組織と運動を拡大強化することは、共闘の再構築をはかるうえでも、統一戦線による多数者革命を成し遂げるうえでも欠くことのできない課題だ」と強調しました。

 第二のカギは、日本共産党の総選挙での躍進です。「金権腐敗政治」「経済無策」「戦争する国づくり」「人権後進国」の四つの大問題は、そのまま総選挙の大争点であり、「経済再生プラン」「外交ビジョン」など党の政策が政治をもとから変える希望となると指摘。また、決議案が綱領路線と組織のあり方を魅力として輝かせるものとなると強調しました。

 総選挙では、比例代表「650万票、10%以上」を得て、すべての比例ブロックでの現有議席獲得・議席増を勝ち取ることに徹する、小選挙区では沖縄1区の議席を守り抜き、議席増を目指し、必ず躍進をと訴えました。

党勢拡大の目標

 党建設の方針を示した第3章では、決議案で示された多数者革命を進めるうえでの党の役割について、「国民の自覚と成長を推進」するという党の根本的な役割、民主集中制という組織原則の意義についてさらなる解明を行いました。

 その中で、「国民の自覚と成長を推進」することは、日本共産党の自己規定だと強調。民主集中制の意義については、一部に「時代にあわない」と否定したり、弱める意見があるが、見直しを求める意見に共通しているのは“革命抜きの組織論”となっていることだと率直に指摘し、「民主集中制の組織原則は、『時代にあわない』どころか、いよいよ重要性と必要性を増していることを、声を大にして訴えたい」と述べました。

 つづけて、「党勢拡大・世代的継承の大運動」の到達点について、福岡県と18地区が前回党大会の党員現勢を回復・突破し、読者拡大では日刊紙で5地区、日曜版で4地区、電子版で47都道府県286地区が大会現勢を回復・突破していると報告。一方で目標達成には大きな距離を残しているとして、1月末までの「大運動」を最後まで頑張り抜こうと呼びかけました。

 同時に、前進への「足がかり」として、「双方向・循環型の活動の新たな開拓」「世代的継承のとりくみの意識化」に加え、「党員拡大・入党の働きかけの日常化」がはかられつつあると強調。三つの「足がかり」を全支部・全党員へと広げ、「新たな大会期を党づくりの後退から前進への歴史的転換を果たす大会期にしよう」と訴えました。

 その上で、新たな大会期の目標として、▽第30回党大会までに第28回党大会現勢を回復・突破し、28大会時比「3割増」を2028年末までに達成する▽第28回党大会で掲げた青年・学生、労働者、30~50代の党勢倍加を28年末までに達成する▽第28回党大会・第二決議で掲げた目標を堅持する―を呼びかけ、目標の意義を4点で強調しました。

 第28回党大会以降4年間の党づくりの教訓と党建設の強化方向については、決議案が示した七つの強化方向を前提としつつ、「車の両輪の活動」、「党員拡大・入党の働きかけの日常化」、「世代的継承のとりくみ」、「党の質的強化」などを中心に報告。この中で、党の質的強化の一つとして、これまでの「党生活確立の3原則」とあわせて、決定の読了や綱領の学習など一大学習運動に取り組むことを提起しました。

 第4章では、決議案が三つの角度から「人間の自由」とのかかわりで社会主義・共産主義の魅力を明らかにしたことに、新鮮な感動と歓迎の声が寄せられていると紹介。「三つの角度」で整理した理論的意味を詳しく報告しました。

 「人間の自由」にかかわる三つの角度からの社会主義・共産主義の目的・特質の解明は、若者に未来を語る大きな力となり、民青同盟の加盟や日本共産党へ入党するきっかけになっていると強調。決議案が明らかにした社会主義・共産主義論は、先人たちの理論と実践の両面での不屈の活動が実を結んだものだとして、「壮大な『人間の自由』という人類史の未来への展望は、わが党にしか語れない。日本共産党の魅力を大いに語り、若い世代を結集し、強く大きな党をつくろう」と訴えました。

 最後の第5章では、1世紀におよぶ党の歴史を学ぶ意義を強調し、「『党史の一大学習運動』にとりくみ、次の1世紀に向かって新たな歴史を切り開く力にしよう」と訴えました。

 その上で、第28回大会期の4年間も新たな党史に刻まれる試練の連続だったと振り返り、「試練に立ち向かい、苦闘と開拓を続け、そのたたかいを糧に新たな成長を遂げようと奮闘したからこそ、大会決議案は新たな理論的な到達を築いている」と強調し、「全党が新しい1世紀に飛躍する力となる、歴史的党大会にしよう」と呼びかけました。


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