2024年1月14日(日)
無担保融資 献金でも融通
自民、銀行の借金完済
一時期120億円
三菱UFJ | 1億6千万円 |
みずほ | 1億6千万円 |
三井住友 | 1億6千万円 |
りそな | 1千万円 |
合計 | 4億9千万円 |
政治資金収支報告書から作成 |
自民党が一時期120億円近くあった大手銀行4行からの融資を2022年に完済していたことが13日、本紙の調べで分かりました。4行は事実上無担保で融資する一方で、同党の政治資金団体「国民政治協会」に多額の献金をしてきました。特別待遇で融資を受けたうえ、返済原資の一部まで4行に融通してもらった形です。大手行を、打ち出の小槌(こづち)のように使ってきた自民党の金権体質が改めて問われます。(三浦誠)
自民党の政治資金収支報告書によると、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行の大手4行に、22年1月と10月に計9億円を返済し、融資を完済しました。
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大手行の再編で4行体制となった06年以降で、最も融資残高が多かったのは08年の119億円でした。これ以後は基本的に融資残高が減少傾向で推移。ただ自民党が政権復帰をした12年には新規に20億円を借りたため残高が増えました。これらは選挙資金にあてたものとみられます。
登記簿によると、自民党本部ビルに抵当権は未設定です。建物の価値は15億5230万円程度で融資に見合う金額ではありません。土地は国有地を借りており、抵当権を付けられないので、無担保で巨額融資を受けてきたことになります。
大手行はバブル経済期の乱脈融資などによる不良債権問題で1998年から公的資金で救済されました。このため自民党側への献金は一時中断に。ただ公的資金の完済などもあり、15年に三菱、みずほ、三井住友の3行が献金を再開。以後毎年2000万円ずつ献金してきました。りそなは21年から献金を復活し、毎年500万円を提供しています。15年以降に大手4行がした献金の額は合計4億9000万円であり、これらが返済原資に含まれる形です。
献金を再開した15年に当時の佐藤康博・全国銀行協会会長(みずほフィナンシャルグループ社長)は、献金について「われわれの株主、取引先、従業員の利益に合致するかどうかがポイント」と断言。献金と企業利益が直結することを露骨に認めました。
自民党への融資について4行はいずれも個別取引を理由に回答しませんでした。また献金は経団連による各党の政策評価を参考にしたなどの回答が返ってきました。
借金棒引きシステムだ
神戸学院大学の上脇博之教授の話 大手銀行から融資を受け、その返済に銀行を含めた献金を充てた形です。銀行が無担保で融資できるのもバックに経団連がつき、自民党への企業・団体献金を集めているからでしょう。事実上の借金棒引きシステムといえます。自民党は企業・団体献金で潤い、派閥で裏金をつくり、さらに税金が原資の政党助成金まで受け取っています。これでは庶民に目が向く政治ができるわけがありません。