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2024年1月13日(土)

主張

24年 農政の課題

自給率の危機打開する政治を

 食料自給率の低迷をはじめ日本の食と農業が深刻な状況の中で2024年を迎えました。能登半島地震は過疎と高齢化が進む農山漁村地域や集落を直撃しており、全国の農業関係者に大きな衝撃を与えています。山積する多くの問題に正面から取り組み、希望の持てる農政に転換することは今年の国政の緊急課題のひとつです。

農山村を疲弊させた責任

 能登半島地震による農地や農業施設への被害の全容は依然不明ですが、打撃の大きさは計り知れません。地震や水害が離農の直接の契機になる場合が少なくありません。被災者支援に全力を挙げるとともに、生業(なりわい)再建と地域復興を展望できる対策を進めるために国は役割を果たす必要があります。

 改めて問われるのは、農山村を疲弊させ、食料の生産基盤を弱体化させた歴代自民党政権の責任です。昨年11、12月に放送されたNHKスペシャル「食の“防衛線”」は、食料自給率が38%に落ち込む下で生産現場が危機的事態となり、食の安定供給の足元を掘り崩している現実をリアルに描き、注目を集めました。

 三菱総合研究所は昨年7月、このままでは農業者の激減で生産力が大幅に低下し、現在自給できている米も2040年には156万トン供給不足になる推計を発表しました。成り行き任せでは、主食の米でさえ国民に届かなくなる危険を浮き彫りにしています。

 食料は海外から安く買えばいいと輸入自由化を推進し、国内農業を一貫して切り捨ててきた農政の転換が不可欠です。農業を市場任せにし、欧米諸国では当たり前の価格保障や所得補償を縮小し、大多数の中小家族経営を成り立たなくしたことを反省すべきです。

 岸田文雄政権は食料・農業・農村基本法の見直しに乗り出し、今年の国会に改定案を提出します。検討されている内容は、危機を招いた歴代政権の農政に対する真剣な検証もなく、従来の延長線上での小手先の対策です。それどころか現行基本法で農政の最大目標としてきた自給率向上の位置づけを大幅に後退させています。

 輸入途絶など「不測時」には農家に作付け転換や増産を命令できる“有事法制”の導入も検討しています。政府が現実に行っていることは、年間77万トンもの米輸入を聖域にする一方、農家には米減産を押しつけ、小麦や大豆などの生産維持に欠かせない交付金をカットするなど増産に逆行する施策ばかりです。苦境にある酪農家などが所得補償を求めても「生産性向上の意欲に水を差す」と応じようとしません。国民の命の安全に欠かせない農林水産予算は縮小の一途です。

政治のゆがみをただして

 「農業を守る」「食料の安全保障」と言いながら、“亡国農政”に固執するのはアメリカの食料戦略に屈服し、大企業の利益を最優先する政治のゆがみが根本にあるからです。

 国民の命の安全、持続可能な社会の実現のために、自民党政治から切り替える時です。

 日本共産党は「経済再生プラン」で経済立て直しに欠かせない課題として、食料自給率の向上を国政の柱にすえ、価格保障や所得補償など農業への支援の抜本的強化を打ち出しています。力を合わせて実現させましょう。


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