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2024年1月9日(火)

楽しさが「壁」切り崩す

多様な人参加のスポーツ考える NPOがシンポ

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(写真)シンポジウムで、ティッシュ箱を積み上げる競技の説明をする河内屋さん

 多様な人が参加するスポーツについて考えるシンポジウムが7日、名古屋市内で開かれ、スポーツ、障害者福祉の関係者、学生ら約50人が参加しました。主催はNPO「体育とスポーツの図書館」。

 シンポジウムでは、障害の有無にかかわらず、みんなで楽しむ「ごちゃまぜ運動会」を開催しているNPO「ピース・トレランス」の河内屋保則代表理事が、同運動会について報告しました。

 同運動会は2017年にスタートし、愛知県尾張旭市でこれまで5回開催しています。車いすを20台連結させて行う大綱引きや、チーム対抗でティッシュ箱を積み上げて高さを競うなどの競技を行っています。昨年5月の第5回運動会には約200人が参加しました。

 河内屋さんは、障害がある人も「どうしたら参加できるか」を考えてルールを作ってきたと説明。ティッシュ箱を積み上げる競技は、当初「面白くないのでは?」と思っていたものの、やってみたら参加者がとても喜び懸命にプレーしていると紹介しました。昨年の運動会では、休憩中、BGMに合わせ一人が急に踊り出すと、周りも続いてダンスの輪が自然発生的に広がる出来事があったことを伝え、「踊りですから、これもスポーツ。この出来方がすごいと思った」と語りました。

 神経難病の脊髄性筋萎縮症(SMA)により生まれつき歩くことができず、電動車いすを使う佐野夢果さん(静岡県掛川市在住の高校2年生)も発言。同運動会について「(参加したら)多様な背景を持った人たちが目をキラキラ輝かせながら楽しんでいた」と話しました。当事者として、周りとの「壁」を何度も経験してきたという佐野さん。「壁は、関わったことがないとか、知らないとかで生まれている側面があると考えます。楽しみながら多様な人が関わり合えば壁を切り崩していく。スポーツが、その切り口になるのでは」と語りました。

 シンポジウムではまた、ホームレスなどの困難に向き合う当事者らが参加するサッカー大会を開催するNPO「ダイバーシティサッカー協会」の鈴木直文代表理事(一橋大学教授)が活動を紹介。「やりたいのは、生きづらさを抱える人が安心できる場所を増やすこと。サッカーという遊びで自分の好きなことができることが大事だと思っている」と話しました。現在、大会をリーグ戦に移行することや、今年のホームレス状態の選手が参加する世界大会「ホームレス・ワールドカップ」に日本代表の派遣をめざしていると語りました。


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