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2024年1月9日(火)

きょうの潮流

 「核実験被ばく者を“数”でなく、一人ひとりの人生を記録したい」。こう話すのは、高知で活動する太平洋核被災支援センター共同代表の濱田郁夫さんです▼アメリカによるビキニ核実験被災から70年。濱田さんが作成する「被災名簿」は、室戸漁協と室戸岬漁協で160隻のマグロ船です。「戦争中は軍の徴用船に取られ室戸の遠洋漁業が壊滅し、戦後、多くの人のがんばりで遠洋漁業を再建した。なのに、核実験で被ばくし、その後の人生を苦しめられているわけですから」と濱田さん▼徴用船は、中国大陸や南方諸島への物資輸送や近海に配置され、敵機や敵艦艇の監視や報告の任に。『室戸岬遠洋漁業六十年の歩み』によると、約70隻もあったカツオ、マグロ船は、戦後残存した船は9隻でした▼「戦争が当たり前のご時世で“お国のためなら死んでもいい”と教育された。兵隊にとられたのは長男だけだったが、無事に戻ってきてホッとした」と話すのは小笠原勝さん。89歳です▼勝さんはマグロ船「第五海福丸」に乗りビキニ海域での核実験で被ばくしました。「東京に入港したときの検査で、マグロの解体作業に使った軍手が一番反応した。歯茎から出血が続いたことも記憶に残っている」▼日米両政府は、第五福竜丸以外の多くの被災船員の被ばく・健康問題は闇に封じることで「政治決着」させました。「私たちの被ばくは無視され続けてきました。無責任すぎる。戦争も核兵器もいかん。若い世代にはこの真実を知ってほしい」


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