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2024年1月5日(金)

主張

羽田空港・衝突炎上

大事故の原因を徹底究明せよ

 羽田空港(東京都大田区)で2日夕、日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機が衝突し、炎上しました。海保機の乗員6人のうち5人が死亡し、機長は重傷を負いました。日航機の乗客乗員379人は全員機体から脱出しましたが、15人が負傷しました。羽田空港は年間約5000万人が利用する東京の空の玄関口です。事故発生時も年始の移動のため多くの人で混みあっていました。滑走路上で航空機がぶつかり、両方の機体が激しく燃え上がる事故の映像は国民に衝撃を広げています。事故を再び起こさないために、原因の徹底究明が必要です。

管制とどんなやりとりが

 新千歳空港発の日航機は羽田空港の滑走路への着陸時に、同じ滑走路に誘導路から入ってきた海保機と衝突したとされます。同一の滑走路に複数の航空機が同時に入ることは安全上あってはならないことです。

 通常は、空港の管制官がそれぞれの航空機と交信し、離陸や着陸、滑走路への進入や待機の指示をしています。国土交通省は3日、管制側と事故機2機との交信記録を公開し、海保機に滑走路への進入許可は出していないと説明しています。日航機は、管制官から着陸許可を得ていました。

 海保機の機長は、海保の聞き取りに進入許可を得たとの認識を示しているとされており、食い違いがあります。管制側と両機の間にどのようなやりとりがあり、意思疎通ができていたのか、事実経過の詳細な調査が不可欠です。

 過去には、管制側と航空機側の情報伝達がうまくいっていなかったことで事故につながったケースもあります。他機への指示を自分の機へのものと取り違えたことを原因とする滑走路上のトラブルが起きたこともありました。

 管制官の指示通りに飛行機が動いていることを確認することはできなかったのか。人的なエラーを防ぐことができる体制のあり方も含めた検証が求められます。

 羽田空港では近年、国際線を増加させてきています。2020年には東京の都心部を低空で飛行する新ルートの運用がはじまりました。国際線を従来の1日最大80便から最大130便にまで増やせるようにしました。国際線を増加させた影響で羽田は過密状態になっており、航空評論家の秀島一生氏は「管制業務はとても複雑」(「日経」3日付)と指摘しています。

 政府は、訪日外国人旅行者の大幅拡大を掲げ「旺盛な国際線需要に応える」として羽田空港の増便を進めています。需要ありきで、現場に矛盾がしわ寄せされ、安全運航の仕組みがおろそかになるようなことはあってはなりません。

教訓生かすことが不可欠

 海保機は能登半島地震の救援のため、水などの物資を運ぶ任務にあたっていました。大変痛ましい、無念の事態です。

 炎上する日航機から乗客乗員全員は間一髪で脱出できました。乗客に冷静な行動を呼びかけ、安全に退避させることは非常に困難とされます。それができたのは緊急時に備えた日ごろの訓練の効果といわれます。乗務員の熟練とチームワークがいかに欠かせないかを改めて示しています。迅速な避難を可能にした教訓と課題を明らかにし、空の安全を確保していくことが重要になっています。


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