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2024年1月4日(木)

主張

2024年の世界

平和の本流を 発展させる年に

 世界で多くの人がミサイルの襲来や爆撃におびえ、飢えと寒さに耐えながら新年を迎えました。ロシアによるウクライナ侵略、イスラエルによるガザ地区攻撃と、平和に対する深刻な逆流が起きています。その中で大きな力を発揮しているのが、平和をめざす本流です。国連憲章と国際法を守れという声が多数となり、国際社会を動かしています。20世紀以降に重ねられてきた努力が礎となっています。2024年は、平和の本流をさらに前に進める年です。

国連憲章守れの一点で

 パレスチナで異なった民族、宗教の人たちが共存した歴史は長期にわたります。そこに対立の種をまき、分断を拡大した大国の責任は重大です。

 第1次世界大戦の際、英国は、オスマン帝国とのたたかいに利用するため、アラブ人、ユダヤ人双方に同じパレスチナでの国家樹立を約束しました。さらにフランスなどと秘密協定を結び、この一帯を分割支配しました。悪名高い「三枚舌外交」です。

 第2次世界大戦後、イスラエルを支援し、強大な軍事力を持つ国にしたのは米国です。

 戦後、国連憲章によって戦争を違法として禁止する流れが進みました。憲章は、武力行使と武力による威嚇を禁止しました。加盟国の領土保全と独立の尊重、紛争の平和的解決も義務づけました。

 やむなく戦争になった場合でも許されない行為がジュネーブ諸条約などの国際人道法で規定されました。1948年に結ばれたジェノサイド条約は、民族、人種、宗教など集団に対する殺害、迫害を犯罪として禁じています。

 ガザでジェノサイドを許さないたたかいに、世界で多くの人たちが立ち上がる上で、国連憲章や国際人道法がよりどころとなっています。

 歴代政権がイスラエルを支えてきた米国で、ガザ攻撃中止、即時停戦を求める市民の運動が力を発揮していることは重要です。

 ウクライナ侵略に続いてガザ攻撃でも、国連総会が国際社会の意思を示す役割を果たしました。「即時の人道的停戦」を求める決議は加盟国の8割にあたる153カ国の賛成で採択されました。

 どの国であれ、国連憲章と国際法を守らなければなりません。この一点で結束を築く主役となっているのは、20世紀に植民地支配を打ち破って独立した国々です。安全保障理事会で、米国がイスラエルの蛮行に、ロシアが自国のウクライナ侵略に関して拒否権を行使し、二重基準をとっていることと対照的です。

9条を生かした外交こそ

 東アジアでは東南アジア諸国連合(ASEAN)が、東南アジア友好協力条約(TAC)を締結し、かつて分断と敵対が横行した地域を、平和と協力の地域に変えてきました。

 さらに、TACの原則をもとに、東アジア規模の友好協力条約を展望するASEANインド太平洋構想(AOIP)が進められています。対立を深める米国と中国、ロシアも含む枠組みです。

 日本がなすべきことは、大軍拡でも、米国言いなりの外交でもありません。ASEANと協力してAOIPを共通の目標に据え、憲法9条を生かした平和外交に徹することです。


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