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2024年1月1日(月)

日本でスト再生

全医労124カ所で決行

大幅賃上げ・増員し医療守ろう

 長らく「ストライキのない国」といわれた日本で、労働組合の活動が活性化し、ストが広がりはじめています。昨年、この流れに勢いをつけたのが、国立病院の労働者でつくる全医労(全日本国立医療労働組合)の31年ぶりのストでした。今年の春闘でも、看護師などケア労働者の大幅賃上げと国民のための医療拡充を実現しようと取り組んでいます。(田代正則)


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(写真)24春闘もストライキを構えて大幅賃上げ、増員を実現しようと意気込む前園委員長(前列中央)ら全医労の組合

 昨年の春闘、全医労はコロナ禍で医療現場を支えながらも、過酷な労働実態で疲弊するケア労働者の大幅賃上げを求め、全国124カ所の国立病院でストを決行しました。

 コロナ禍で国立病院の人手不足の実態があらわになりました。看護師が大量退職していると報道され、大きな問題になりました。

 岸田政権はケア労働者の賃上げをアピールしましたが、国立病院では看護師の一部に臨時手当がつくだけで、基本給の抜本的な引き上げにつながっていません。

 全医労は、すべてのケア労働者の大幅賃上げと大幅増員を実現してこそ患者の命を守れると、昨年3月9日、統一ストに立ち上がりました。

 「以前のストでは、私もまだ若手で、先輩たちの後をついていきました。今回は経験者がほとんどいないなかでのストでした」と前園むつみ委員長は振り返ります。

 「世論に支持されるだろうか」「代表者の指名ストで効果があるのか」など、職場のさまざまな不安や疑問を受け止めながら、意思統一をはかりました。全医労全体でウェブ学習会を3回開きました。これを受け、各支部でどのような宣伝行動をするかなど議論が行われました。

 ストをへて、経験を重ねても昇給がなかった非常勤職員の経験加算制度の検討や、勤務する病院ごとの経営状況により賃金に格差をつける病院評価制度の実施延期などを国立病院機構に判断させました。

 しかし、2023年度の賃金改定はなく、今年4月からの賃上げ予定は、準拠するはずの国家公務員の賃金改定率の約半分にとどまり、ベテラン層は500円の引き上げにとどまる提案です。これでは到底、物価高騰に追い付かず、看護師など必要な人員を確保できないとして、今年の春闘もストを構える覚悟で臨みます。

全組合員の力で運動を

広がるスト

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(写真)全国でストに立ち上がった全医労の組合員と支援者たち=2023年3月9日、札幌市

 昨年春闘の全医労のストライキは、直後にテレビ18社、新聞54社が報じるなど大きな影響がありました。内容も、コロナ禍での医療現場の疲弊や人手不足を伝えるものでした。

 スト・宣伝行動には全労連・国民春闘共闘の仲間が駆けつけました。スト権を不当に制限されている公務労働者も支援集会に参加して元気になるなど春闘全体が盛り上がりました。

 春闘のストは、全医労の加盟する日本医労連全体で2022年の44組合から23年の222組合へ5倍化。全労連・国民春闘共闘全体では23春闘で372職場435回となりました。

 春闘後も「ストは実施していいんだ」という雰囲気がつくられ、西武百貨店のストをはじめ、大学・研究機関、放送局、航空会社などにも広がっています。

 一方、国立病院で賃金抑制が続いているのは、「病院経営の問題とともに、岸田政権の大軍拡・大増税に大きな問題があります」と鈴木仁志書記長は指摘します。

 岸田政権は5年間で軍事費を43兆円に増やす方針を打ち出し、国立病院機構の積立金422億円を「不用見込みの財源」だとして返納させようとしています。「この積立金は、国民のいのちを守る設備拡充や職員の処遇改善にこそ使うべきです」と訴えます。

 全医労は「さらなる賃金回答を求める要求署名」などに取り組んでいます。前園むつみ委員長は強調します。「私たちが働き続けられる職場をつくるための大幅賃上げや増員などの取り組みは全医労結成以来目指してきた『よい医療』に必ずつながる。全組合員の力で運動をすすめたい」


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