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2023年12月29日(金)

主張

辺野古・初の代執行

沖縄の民意と自治否定の暴挙

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設で、大浦湾の埋め立て予定海域にある軟弱地盤の改良工事を強行するため、斉藤鉄夫国土交通相は、玉城デニー知事が応じるのを拒否してきた設計変更の承認を代執行しました。地方自治法に基づき自治体に任された事務を国が代執行するのは初めてです。沖縄の地方自治と辺野古新基地反対の民意を乱暴に踏みにじる岸田文雄政権の暴挙に強く抗議します。

銃剣とブルドーザー再現

 「史上初の代執行をすれば、強権発動で地方自治を押しつぶしたとして、岸田文雄内閣は斉藤国交相の名前とともに、歴史に汚点を残すことになる」(琉球新報26日付社説)

 「代執行による新基地建設は、米国統治下に吹き荒れた『銃剣とブルドーザー』による強制土地接収を新たな形で再現するものだと言わざるを得ない」(沖縄タイムス同日付社説)

 沖縄の地元紙2紙は、デニー知事が25日に設計変更の承認は困難と表明し、斉藤国交相が代執行する見通しになったことを受け、こう警告していました。

 米国統治下の沖縄では、新たな米軍基地建設のため、銃剣で武装した米兵が住民を追い出し家屋や農地をブルドーザーで敷きならして土地を強制接収する無法が行われてきました。今回、岸田政権の下で強行された代執行は、米軍の「銃剣とブルドーザー」による土地強奪を思い起こさせる、まさに「歴史に汚点を残す」ものです。

 設計変更は、大浦湾の埋め立て予定海域に「マヨネーズ並み」の軟弱地盤が広範囲に見つかったためです。公有水面埋立法に基づき知事の承認が必要で、防衛省沖縄防衛局が申請していました。デニー知事は、地盤改良工事は環境保全や災害防止に十分配慮したものになっておらず、工期も不確実で米軍普天間基地の危険性の早期除去につながらないとして不承認にしました。

 知事の不承認に対し沖縄防衛局は国民(私人)の権利・利益の救済が目的の行政不服審査法を乱用し、公有水面埋立法を所管する国交相に審査請求し、国交相は知事の不承認を取り消す裁決を行いました。辺野古新基地建設の推進を方針とする政府機関の沖縄防衛局が私人になりすまし、同じ政府の国交相が審査したとして知事の不承認を取り消すという、なりふり構わぬ手段でした。国交相は知事に承認するよう指示も出しました。

 司法はこうした政府の手法を不当に追認してきましたが、辺野古新基地に反対する県民の負託を受けた知事は不承認を貫いてきました。これに対し、代執行に向けた手続きに入り、国交相の主張を追認する福岡高裁那覇支部の不当判決を受けて設計変更の承認を行ったことに何の道理もありません。

新基地反対の声を全国で

 岸田政権は来年1月中旬にも大浦湾側での工事を始めようとしています。しかし、軟弱地盤の改良は前例のない深度に達し、難工事は必至です。今後も複数回の設計変更が必要になるとされます。

 今回の代執行は民意に基づく都道府県の自主的判断を政府の意のままに覆す先例をつくるもので、沖縄だけの問題ではありません。「地方自治を破壊し新基地建設を進めることは許されない」の声を全国で広げることが必要です。


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