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2023年12月28日(木)

主張

混乱インボイス

現場に苦難強いる制度なくせ

 岸田文雄政権が消費税のインボイス制度導入を10月1日に強行してから約3カ月です。一方的な値引きや単価切り下げ、仕事の打ち切りをはじめ取引関係の悪化や免税事業者いじめなどで多くの小規模事業者・フリーランスが苦しんでいます。制度の複雑さも混乱に拍車をかけています。現場に負担と苦難を強いるインボイスを一刻も早くなくすことが必要です。

仕事なくす未登録業者も

 消費税の納税額は、年間売り上げにかかった消費税から、仕入れにかかった分の消費税を差し引く「仕入れ税額控除」を行って算出します。

 インボイスを登録していない免税事業者との取引では「仕入れ税額控除」ができません。免税事業者と取引すると仕入れにかかった消費税を負担しなくてはならないことから、取引をめぐり混乱とトラブルが頻発しています。

 インボイス登録していない飲食店がインボイス登録番号の入った領収書の発行を客から求められ、出せないと言うと「インボイスを取っていないなら、飲食代を10%値引きせよ」と迫られる事態も起きています。領収書が必要な接待に使う客が多いため、泣く泣くインボイス登録をした業者や、「インボイスを登録していない自分のところと、もう1軒だけにピタッと仕事が来ない。でも登録しても消費税なんて払えない」という悲痛な声も上がっています。

 インボイス制度を考えるフリーランスの会が行った制度開始1カ月実態調査(10月20日~31日)では、回答者の7割近くが「事業の見通し悪い」「廃業検討」などと答えました。「インボイス制度について相談できる人がいない」との回答も半数を占めました。

 インボイスに対する批判の広がりの中、政府は2026年9月までは、1万円未満は消費税の計算上インボイスを必要としない「少額特例」や、納税額を売り上げにかかる消費税の2割に抑える「2割特例」を創設しました。しかし、仕組みが複雑で、情報も錯綜(さくそう)しています。税務署が書類の扱いを間違って教えたために、特例を受けられなくなる人も出かねない危険が生じるなど大混乱です。

 財務省はインボイス導入の理由を「適正な課税のため」だと強調し、国民への煩雑な事務負担の強化を当然のように言います。しかし、政権党の自民党はどうでしょうか。主要派閥は政治資金パーティー収支を巡り、国民に公開するために厳格性・透明性が求められている政治資金収支報告書の未記載・虚偽記載を繰り返していました。安倍派は組織ぐるみで億単位の裏金をつくり、国会議員に多額のキックバックをしていました。

自民にこそ厳正な対処を

 安倍派では本来のパーティー収入が記された資料とは別に、議員への還流額を反映させた資料を作成していたと報じられています。民間企業で「二重帳簿」や収入隠しが発覚すれば、脱税で重加算税の罰則がつきます。厳正対処が必要なのは自民党の違法行為です。抜け穴をなくし、企業・団体献金の禁止に踏み切るべきです。

 インボイスでの消費税増収分を「少子化対策」財源にあてると言う首相に、子育て世帯をはじめ物価高に苦しむ国民の批判が上がっています。消費税減税を実現する政治への転換が急務です。


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