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2023年12月23日(土)

主張

2024年度予算案

生活守る財政の役割取り戻せ

 岸田文雄政権が2024年度予算案を閣議決定しました。一般会計総額は112兆717億円です。5年間で総額43兆円となる大軍拡計画の2年目で、軍事費は初めて7兆円を超えました。首相は「物価に負けない賃上げの実現に向けた予算面での対応を最大限で図る」と述べましたが、実効性のある賃上げ対策はありません。社会保障費も圧縮します。物価高騰から生活を守り、経済の停滞を打開するには程遠い予算案です。

軍事費突出し将来負担も

 軍事費は7兆9496億円と、8兆円に迫る、突出した増額です。安保3文書を具体化するため、敵基地攻撃が可能なミサイルの取得、開発などに巨額の予算を計上しています。つけ払いの新規後年度負担も過去最大です。将来にわたって他の予算を圧迫します。

 大軍拡の財源を調達する増税については、国民の批判が強く、23年度に続いて実施を見送りました。展望のない財源探しはもちろん、アジアの緊張を激化させる軍拡そのものをやめるべきです。

 社会保障費は高齢化などで増える自然増5200億円を1400億円削減します。

 診療報酬の改定では、人件費や設備関係費に充てられる本体部分の引き上げを0・88%に抑え、薬価の引き下げを含めた全体でマイナスとします。介護報酬は1・59%の微増にとどめます。医療機関や介護事業所の厳しい経営が改善されず、離職者の増加を食い止めることもできません。

 所得税・住民税の定額減税を実施しますが、1回だけの減税で疲弊した暮らしを立て直すことはできません。何よりも重要なのが賃上げです。労働者の7割が働く中小企業を抜本的に支援する必要があります。

 予算案には中小企業の賃上げ支援として、業務改善助成金の増額を盛り込みました。設備投資による生産性向上を要件としているため、利用実績が少ない事業です。

 「賃上げ減税」も、赤字経営の中小企業には縁のない施策です。社会保険料の軽減をはじめ、すべての中小企業に直接届く支援に踏み切るべきです。

 大企業に対しては、半導体などの特定産業に支援を拡充します。

 国債費は27兆円と、歳出のほぼ4分の1を占めます。「異次元の金融緩和」を続けられなくなってきたことで長期金利が上昇しつつあり、利払いが膨らみます。

 歳入では、消費税の税収が過去最高の23兆8000億円となる見込みです。物価高やインボイス(適格請求書制度)制度の導入によって、国民の負担がますます増えることになります。

暮らし優先で組み替えを

 税財政の役割は、暮らしを支援し、格差を是正することです。24年度予算案は、この本来の機能を果たしていません。

 物価高から国民を守り、経済を持続的に発展させる積極的な予算が求められています。財政を立て直す上でも、暮らしと経済の回復が大前提です。この立場から予算案を抜本的に組み替える必要があります。

 消費税の減税は、最も有効な物価高対策であるとともに、公平な税制の実現に向けた大きな一歩です。財源の確保には、大企業や富裕層に応分の負担を求める税制改革が欠かせません。


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